解雇規制緩和で何がどう変わるの?と思った時に読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。
最近、アトキンさん絡みの質問を続けていただきました。いい機会なので筆者のスタンスをまとめておきましょう。


Q1:
城さんこんにちは。いつも配信楽しみにしております。

先日、デービッドアトキンソンの日本人の勝算という本を読み疑問が湧きましたので教えてください。

彼の主張を乱暴にまとめますと、日本人は生産性が低い→その理由は中小企業が多すぎる(世界的には大企業の割合が大きいほど生産性が高いデータ有り)、最低賃金が低すぎる(日本の人材評価は世界4位で急激な賃上げによって社会問題化した人材評価が低い韓国とは違う)ので、まず最低賃金を段階的に上げて企業統合を政策で推し進めるべきというものです。

賃上げは一労働者としては極めて喜ばしいことですが、社内の人事評価の制度が異なる日本(伝統的な企業では未だに人事評価を明確にせず将来の出世手形をつかませる代わりに現行の賃金を抑制する仕組み。空手形かもしれないけど。同一労働同一賃金、職務給とは異なる仕組みが日本は未だ強い)が他国のデータ比較を基にこの政策を実施してどこまで効果があるか疑問があります。

城さんはどのように思われますでしょうか?

Q2:
デービッド・アトキンソン氏は近著「日本人の勝算」(第7章)で、解雇規制緩和するだけで劇的に生産性が向上するのかは懐疑的であり(世界経済フォーラムのデータでは先進国の解雇規制と生産性の相関係数は0・32)、企業に生産性向上をコミットしないまま規制緩和すれば逆効果になるのではないか、と書いております。

私も確かに解雇規制緩和だけでは生産性の劇的向上はないかもしれませんが、緩和による日本人の働き方・行動に大きなプラスの変化(長期的な生産性向上を含む)があると考えており、アトキンソン氏とは少し違う感覚があります。

そこで、現在の日本において解雇規制緩和のみ実施した場合、どのような影響があるでしょうか。また、緩和によってマイナスの影響がある場合、対処するため追加でどのような政策等が必要だとお考えでしょうか。

いつもおっしゃっていることが結論になってしまうかもしれませんが、宜しくお願いします。


アトキンソン氏の論点

氏の論点を簡単にまとめると以下のようになります。

「日本企業の生産性はとても低いが、逆に言えばそれを向上させることが出来ればチャンスでもある。ではどうするか。日本人労働者の質自体は高く、低いのは経営者の質だ。だから経営者に生産性向上のインセンティブを与えて尻を叩いてやることが必要なのだ」

そして、そのために最低賃金の引き上げが必要だというのが最近の意見ですね。


外国人アナリストの目には日本企業はどう見えているのか

筆者は様々な国のビジネスマンや通信社の記者、研究者等に日本の雇用状況について解説する機会があります。「今度投資しようと思っている会社があるんだけど人事制度はどうなっているのか」とか「どうして日本では普通のサラリーマンが死ぬまで働くのか」といったテーマですね。変わったところではハンブルク大学に呼ばれてシンポジウムで日本の雇用問題について話をしたこともあります。

彼らは日本全体のイメージはある程度持っていますが、その中身、特に企業組織のなかでどういうメカニズムが働いているのかまでは分かっていません。だから、だいたい外から見た情報に基づいて以下のような印象を持っています。

1.日本の経営者は無能かつ高齢すぎ

彼らが目にする日本の大企業の経営者はほぼ例外なく55歳以上の男性であり、その多くが転職経験のない生え抜きです。桜田大臣の時にも説明しましたけど、年功序列で出世した人というのは、年俸10億円以上がザラで転職経験の豊富な欧米のプロ経営者と比べると、能力的にどうしても見劣りすることになります。

【参考リンク】なんで我が国のサイバーセキュリティー担当相ってパソコン使えなくてもなれるの?と思った時に読む話


2.日本人は長時間働き、生産性も低い

日本人が異常なほど長時間労働している事実は、ちょっとでも日本に関心のある人なら常識です。それで生み出す付加価値も決して高くは無いため、時間当たりの労働生産性も万年主要先進国中最下位というのも有名な話です。

3.最大の謎は「どうしてそういう状況を経営者も従業員も変えようとしないのか」

そして、彼らは最大の謎に行き着くことになります。

「なぜ経営者は事業再編してそういう状況を抜本的に見直さないの?まあ経営者はアホだからわかるけど、なんで労働者は文句言って残業ボイコットしたりマトモな会社に転職したりしないの?日本人っていったい何考えてるの?」

ちなみに筆者の解説は大雑把に言えば「日本では人員削減の代わりに残業削減するので常に一定の残業が前提であり労組も全面協力、信じられないかもしれないが研究職でさえ時給で払うのであらかじめ残業しないと元が取れない給与体系になっており残業慢性化。経営者は確かにそんなに優秀じゃないかもしれないけど彼らは雇用維持が最優先なのでそもそも出来ることは限られる」という話ですね。

といっても彼らにはなかなか理解してはもらえませんが。それくらい日本型雇用というのは世界から見ればエキセントリックな代物だということです。

筆者はアトキンさんの主張には一通り目を通していますが、恐らく氏も上記のようなスタンスだと考えて間違いないと思います。そして氏の場合、“最大の謎”に対する答えを「経営者が無能かつ、日本人全体が高度成長期の成功体験に縛られているから」という理由で説明しようとしているように見えます。

だから、現在の無能な経営者に解雇規制緩和してやっても何にもやらないか、もともと無い頭をひねっておかしな事業再編をやって、結局生産性の向上にはつながらないんじゃないか、と心配しているんだと思います。

日本型雇用に対する理解は別にして、その結論自体は実は間違っていないと筆者も思いますね。解雇規制緩和しても、出来ない社員をじゃんじゃんリストラして優秀者に報いる日本企業は少ないでしょうし、1年やそこらで日本の労働生産性が目に見えて向上することは無いでしょう。

大半のサラリーマンは「あれ?で何か変わったの?」という感じで日々を過ごすことになるはずです。





以降、
最低賃金を上げると日本はどう変わるか
解雇規制緩和で一番変わるもの

 



※詳細はメルマガにて(夜間飛行)






Q:「外資から年収2倍のオファーを頂きました」
→A:「将来的にどういう働き方をしていたいかで判断すべきでしょう」



Q:「若手の凡ミス連発にどう対処すべき?」
→A:「身が入っていない理由はいくつか考えられます」




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ロスジェネの死体蹴り

最近、人手不足にもかかわらず就職氷河期世代、いわゆるロスジェネが悲惨なことになっているという記事を目にする機会が増えた。たとえばこんなのが典型だ。

【参考リンク】43歳でスキルゼロ"中年フリーター"の焦り

さすがに「小泉・竹中改革で規制緩和したのが原因だ」というバカはほとんどいなくなったようだが、では処方箋としてはどうすべきだったのか。

【参考リンク】「正社員」という働き方を考える 東洋大・竹中教授は若者の将来を奪った「希代のワル」?


それは正社員の解雇規制を緩和して新卒採用や非正規雇用のみに雇用調整を押し付けるのをやめることだった。たとえばリーマンショック時に、某大手メーカーの子会社では、親会社から押し付けられた中高年正社員を数十人受け入れるために200人ほどの派遣労働者を雇止めにした。

「派遣さんの3倍の給料もらっていながら半分ほどしか仕事できない連中を引き取るのは納得いかない」と総務の人間は嘆いていたが、判例で「正社員を切る前に新卒採用止めて非正規も切れ」となっているのだから仕方がない。

正社員の解雇規制を緩和すればこういう理不尽なことが無くなり、特定の世代へ負担が集中することは無かっただろう。

派遣を含めた非正規雇用というのは終身雇用を維持するための弾除けとして使われているので、正社員制度そのものを見直す以外に格差是正の方法はないということだ。

というような話を筆者のような立場の人間は10年前から一貫して続けてきたわけだが、当時はボリュームゾーンの団塊世代がまだ現役で組織の上の方にがっちり残っていたからそういう論は受けが悪かった。かわりに「正社員もこんなに大変、終身雇用は悪くない」というロジックのよくわからない論がそういうオッチャン達にはうけていた。

で、何が言いたいかというと、冒頭のロスジェネ大変だ論を書いてる小林という人は何を隠そう、そういう終身雇用は悪くない論をさんざんぶっていた張本人だということだ。

【参考リンク】雇用崩壊


たぶん団塊世代はリタイアして雇用に興味無くなったけど、逆にロスジェネが40代半ばになって危機感を募らせてるからそっちの方が飯のタネになりやすいんだろう(苦笑)

というわけで、これから「ロスジェネ大変だ論」がたぶんちょっとしたブームになると思われるが、せめて上記のような経緯があったということは忘れられないようにここに記しておこう。

さて、上記の本を改めて読み返してるだがなかなか強烈だ。トップバッターは「政界きっての経済通」(ホントにそう書いてある)こと枝野幸男センセーなんだけど、その主張が凄い。

「派遣を規制緩和してまで外需に依存する産業構造が間違い。これからは内需だ」そうで、その筆頭に挙げているのはなんと介護事業である。

「派遣や期間工として働いているけど、リーマンショックみたいなのがいつ来るかわからないので本当は安定した介護業界とかで働きたいんです」という人は、次の選挙では迷わず立憲民主党に投票するといいんじゃないか。筆者はそんな人に会ったことないけど。



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新卒一括採用って若者に優しいの?と思った時に読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。
先日、以下のエントリーがSNSで話題となりました。

【参考リンク】海外と日本の就職活動の歴然とした差を実感。海外大博士から見た就職活動



要約すると、ケンブリッジで博士号取得した日本人の篠原氏が日本で就職活動した際の、日系大手企業と外資系企業それぞれの採用スタイルの違いがあまりにも凄すぎて言葉を失ったという話ですね。

ケンブリッジの院生に「TOEICは何点?」って聞いたり、初任給が奨学金以下だったり、博士号持っているのに配属先がわからなかったりと日本企業のガラパゴスぶりがこれでもかというほどに赤裸々にさらされます。※

日本企業の採用がこういう残念なノリなのは、いつも言っているように終身雇用制度前提で新卒一括採用するためです。

年功賃金だから、初任給は一律の一番安い水準からスタートする。雇用を保証される代わりに会社都合でなんでもこなす総合職として就社するため、配属先は確約不可能。重要なのは専門性より“ポテンシャル”であって、それを判断するのは事業部ではなく「人を扱いなれている」人事部である……etc

就活ルール見直しを見ても明らかなように今は過渡期ではありますが、基本は上記のような流れで独特の新卒一括採用が続けられているわけです。

先に苦労しとくか、後で苦労するか

一方で、世の中にはこんな意見もあります。

「学生がポテンシャルだけで正社員にしてもらえる新卒一括採用は、日本が世界に誇れるシステムだ」

確かに、海外のように自身のキャリアを学生のうちにしっかり見据えた上で長期のインターンをいくつも経験し、ジョブディスクリプションに見合った人材として自分を売り込むより、のほほんとポテンシャル重視で正社員身分に入れてもらった方が学生は楽でしょうね。

でも、筆者の経験で言うと、そうやって会社都合で与えられる業務をぐるぐる回ってきた人間というのは、20年経過すると往々にして「社内政治は詳しいけど外のことは全く知らないし、外に出たいとも思わない」人材になります。

ま、それでも会社がいけいけドンドンならいいんでしょうが、ひとたび事業が傾いたりすれば配置転換や早期退職のターゲットとされ、会社から「いい年して、何でこんなこともわからないんだ」「言われたことだけやってればいい時代じゃないんだぞ」と詰められることになります。

もちろん、そこで踏ん張って軌道修正できる人も、中にはいます。でもそれだったら柔軟性も伸びしろも多い20代の頃にいっぱい汗かいて伸びしろを伸ばせるだけ伸ばしておいて、それで40代以降はその時伸ばした伸びしろを軸足に勝負した方が、長い目で見れば楽ちんだと筆者は考えますね。

はっきり言って、一番伸び盛りの20代に楽することを薦めるのは、40歳以降に袋小路に追い込んで会社と一心同体化させ、滅私奉公させる昭和的発想だというのが筆者のスタンスです。

ついでに言えば、新卒一括採用は社会全体でも大きな損失があります。冒頭で氏が衝撃を受けたような2極化した採用アプローチを前にして、普通の学生はどういう選択をするでしょうか。

少なくない数の若者は、「新卒一括採用は若者に優しいんだ」論に甘えて努力しないでポテンシャル採用してもらうコースを選ぶでしょう。そして、氏のようにきちんと努力した人材は、日本企業ではなくきっちり自身を評価してくれる外資を選択するでしょう。

高等教育に多額の税金が投じられている中で、あんまり勉強してない人が自国企業の門戸を叩き、努力した人が外国や外資に流れるという国に、はたして明るい未来は存在するんでしょうか。何だか知らないけど国力も特許も論文数もじりじりと下がり続けている根っこには、予算にくわえてこうした問題の影響が大きいように思えます。

【参考リンク】日本の科学研究はなぜ大失速したか 〜今や先進国で最低の論文競争力





以降、
そもそも人事はどこまで適性判断できるか
専門職と総合職の間で決定的な格差が開く






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Q:「新・脱社畜サロンとかどうですか?」
→A:「過労死してしまいます」



Q:「定時後に仕事振ってくるアホ上司、何とかなりませんかね」
→A:「そういうのが古き良き管理職だと思ってるのがいるんですよ」







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・フリーターから正社員への動き拡大、ただし……

・景気回復の実感がないワケ

・あんたさんざん終身雇用バンザイ!してきたじゃないか(笑)







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書評:「ありえない」をブームにするつながりの仕事術




著者は世界初となるパクチー料理専門店「パクチーハウス東京」を立ち上げた人物だ。ここ数年メディアでたくさん取り上げられたので目にしたという人も多いだろう。実は筆者とは旧知の間柄でもある。

そういえば昨年、繁盛していたにもかかわらず店を閉めたと風のうわさに聞いていたものの、その理由もその後何をしているのかも知らなかった。それらの疑問は、本書を読んできれいに氷解した。

著者が最初にパクチーハウスを設立した時、多くの人がリスクが高いという理由で反対したという。中には現役の飲食店経営者もいたそうだ。だが著者のスタンスはいい意味で型破りだった。

日本パクチー狂会の活動を通じてパクチー好きが「結構いる」ことはわかっていた。しかし、知名度も低いその時代、人口におけるパクチー狂の割合は1%ぐらいだなと見積もっていた。つまり、乗降客5万人とされる経堂駅であれば500人。その全員が月一回来ても足りない。

そこでもっとメジャーな食材なり業態を選ぶのが常識であろう。でも僕には常識は無かった。

僕の行動指針によると、行きたいところにはなんとしてでも行きたい。時間はかかるかもしれないけど、いつか必ず。そういう店づくりをすれば、僕のような人がわざわざ来てくれるんではないだろうか。だってその店は食事は美味しいのはもちろんのこと、面白い人にたくさん会えるのだ。僕ならわざわざ電車に乗っていくな。そういう人に来てもらおう!

僕は商圏を関東ぐらいに設定した。4000万人の1%は……40万人。これは十年単位じゃないとさばききれないな。パクチーハウス「東京」と東京をつけたのはそういう意味だ。東京圏には一店舗で十分だからここ以外に作る必要が無い。


結果、「そこにしかないもの」を求める客が西日本や海外からも来店する人気店が誕生することとなった。

著者のスタンスは一貫していて、お店を単なる飲食サービスを提供する空間とするのではなく、いろいろな人間が出会い、交流を深めることで様々な刺激が生まれる場を創り上げようとするものだ。

「交流する飲食店」というサブタイトルをパクチーハウス東京に付けたのは、僕自身が旅で訪れた海外のゲストハウスでの体験を多くの人に味わってほしいからだった。
(中略)
さっきまでまったく知らなかった人と会話をして、その日を楽しんでもらえればいい。いろいろな感覚、考え方の人がいることを知るだけでも世界平和の一歩となる。人と人とがしゃべるきっかけを築くことで「店内が盛り上がる」ぐらいのことを考えていたが実際はそれどころじゃなかった。

隣り合ったお客さん同士が会話を楽しみ、次回の予約を一緒にしてくれることがあった。隣の人と話してみたら面白く、近くのテーブルが次々つながって仲良くなり、店をリピート利用してくれるだけでなく「世界の料理研究会」みたいなグループを作って東京中の飲食店をめぐるようになった人もいた。さらに、パーティ営業というスタイルで誰でも参加できる社交の場を作ったら、そこで意気投合した人同士が気が合って話が合って、一緒に会社を作ることになったと報告してくれた。


これはその後に立ち上げたコワーキングスペース「パックス・コワーキング」運営にも当てはまる。

もしかすると「何気なく一緒にいること」が、人の長所を引き出し、人と人をつなげやすくするのかもしれないと考えました。そこで、一日2時間ほどの食事に費やす時間よりも、その4~5倍の時間を費やす日々の仕事の時間を、この発想で変化させれば面白いことが起こるのではないかと思いました。


パクチーハウス東京を閉店してからの著者の行動は、200㎞以上を走破するサハラマラソン等のウルトラマラソンに参加したり、コースやタイムにとらわれないマラソン“シャルソン”(ソーシャルマラソンの略)を考案し、その団体を立ち上げたり、さらにはそれをグローバルで実施するグローカル・シャルソンを実施したりと、一見すると全くの新天地に旅立ってしまったようにも見える。

でも、根底に流れる理念は今も昔も変わってはいない。

僕は起業して10年半、飲食業(パクチーハウス東京)、オフィス業(Pax Coworking)、イベント企画(シャルソン)をやってきた。その根底にあるのは一言でいうと「旅と平和」。つまり旅人(=自発的に動く人)が増えると世界が豊かで平和になるだろうという僕の予測と信念を、さまざまな形で証明し、納得してもらうことを目指している。




“40歳定年制”というコンセプトがある。人生100年時代、一つのことでキャリアを突き詰めるのではなく、40歳のあたりで一度棚卸をし、自身のこれからやってみたいこと、出来ることを見つめなおそうという考えだ。

著者の転身はその一つの幸福な成功例のように筆者には思える。

筆者自身も毎日ジョギングはしているが、今日からちょっぴり長めに走ってみようという気になった。40代になって転身を考えている人、とりあえずパワーが欲しいという人におススメの一冊だ。





ギークスジョブ

どうして面接で家族のこと聞かれるの?と思った時に読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。
先日、以下のエントリーがネットで話題となりました。

(追記有)某プラモデルメーカーの転職面接を受け


「いまどきそんな会社あるのか!」と驚いている人が多いようですが、実は、求職者の家族情報などのプライベートを聞きたがる面接官は少なくないですね。上手い採用担当は質問と思わせず、世間話のついでに聞き出したりする人もいます。

なぜ企業は求職者のプライベートを知りたがるんでしょうか。また、そういう質問に遭遇した場合、どのように対応するのがベストなんでしょうか。いい機会なのでまとめておきましょう。


企業が家族構成や実家を気にするワケ


筆者が常々言っていることですが、日本型雇用というのは高度成長期の家族モデル、働き方と密接に結びついています。たとえばこんな価値観です。

・夫は残業、全国転勤で会社第一の生活を送るべし
・女性は家庭に入って夫を下支えするべし
・夫はその会社で定年まで奉公し、家族もまたそれに全面的に従うべし

終身雇用前提なので、繁忙期には新規採用ではなく残業で対応しないといけません。ほとんどの会社では労使が36協定結んで月100時間超えても残業できる枠組みを作っています。従業員にはしっかりそれに従ってもらわないといけません。

また、欠員の出た事業所に余裕のある事業所から人を移すことも終身雇用死守のためには不可欠です。いつでもどこへでも会社命令で引っ越してもらう必要があるわけです。

そう考えれば、面接で上記のようなメンバーシップ型雇用がこなせるのかを判断することが、面接における大きなポイントとなるのは明らかでしょう。

特に求職者が共働きの場合などは、配偶者はどういう会社でどういう仕事をしているかを企業としては強い関心を持つでしょう。会社によっては「実家の都合でUターン」というリスクも見越して実家の場所まで気に掛けるかもしれません。

筆者の感覚で言うと、上記のような昭和的価値観は、都市部<地方、サービス業<製造業で濃厚に残っています。静岡のおもちゃメーカーは相当ディープな昭和ゾーンだったんでしょう。

さて、企業の採用面接については、我々愚かなる下々のために、エリート集団として名高い厚労省さまがありがたいガイドラインを作ってくださっています。それによると「応募者の適性・能力のみを基準として行うこと」が基本であり、本籍地や出生地、家族構成や宗教、支持政党などの質問は控えるようにとされています。


【参考リンク】勤労統計調査ミス、長期放置か

【参考リンク】公正な採用選考の基本


上記の質問は明らかにガイドライン違反であり、本人が怒るのも無理からぬことだと思います。

とはいえ、手を変え品を変え、そうしたガイドライン違反の質問は今後も残ると筆者はみています。なぜか?それは終身雇用がその情報を必要とするからです。

考えてみれば、矛盾はほかにもいっぱいありますね。バブル以来の新卒求人数と言いつつ氷河期世代の40代のフリーターは門前払いだったり、医大が入試で浪人と女性をはじいてたり。年齢とか性別で排除するって、家族情報聞いたり実家の場所聞くよりはるかにガイドライン違反だと思うんですけど。

というわけで、そもそも終身雇用そのものがガイドライン違反なんじゃないかというのが筆者のスタンスです。





以降、
中途の面接はこうして乗り切れ
直球勝負のススメ

   



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Q:「不祥事のあった会社への転職はアリですか?」
→A:「普通にアリでしょう」



Q:「〇〇〇の〇〇〇〇〇〇問題について一言お願いします」
→A:「時代でしょうね……」






雇用ニュースの深層

残業抑制するには浮いた残業代を給料で還元すべし

さっそく2極化し始めた就活




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城繁幸
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