製造業派遣規制の是非

以前、議論になっていて引き取った「製造業への派遣禁止問題」について。
つまるところ、プロセスの問題ではないかと感じている。
派遣自体を規制してから同一労働同一賃金の議論をするか、その逆か。

確かに「既得権見直しは難しいので、ただの現状追認にしかならないんじゃないか?」
という声もある。
だが、そういう人は「失業者を100万人単位で増やせば、雇用改革の後押しになる」
と言っているようにしか聞こえないのだが…
僕には、派遣労働者の多数が“それ”を望んでいるとはとうてい思えない。
当の派遣労働者のユニオンも、再規制には反対の立場だった。

たとえば、である。工場の前で解雇撤回を求める人たちや、派遣村に集まった人たちに
「クビを受け入れろ、正社員でしか働くべきではないのだから」
と言えるだろうか?僕はちょっと言えない。

余談だが、件の派遣村は途中から明らかに“迷走”したように思う。
当初、彼らは安易な解雇に反対し、「雇用の維持」を求めていた。
これは関係者があちこちのメディアで言っていたことでもあり、僕もまずはそれが
筋だと思う。

理解できないのは、なぜか途中から逆方向に流され出し、「派遣禁止」自体を
アピールしはじめたことだ。
まあ好意的に解釈するなら、善意のグループに政治的利用をもくろむグループが
合流し、流れを変えてしまったのだろう。

僕は賃金制度のゼロリセットを主張しているが、世の中には、規制の秩序すべてを
ゼロリセットしようとする勢力がいるということに留意すべきだろう。

たった1%の賃下げが99%を幸せにする 雇用再生へのシナリオ

たった1%の賃下げが99%を幸せにする
城 繁幸
東洋経済新報社

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新刊の紹介。
『たった1%の賃下げが99%を幸せにする 雇用再生へのシナリオ』
来週頭頃には書店に並び始めると思われる。

ベースとなっているのは、07~08年にかけて週刊東洋経済に連載したもの。
単行本にまとめる作業に加え、連載終了後の半年の間に社会・経済情勢が激変したため、
あれもこれもと筆を加えているうちに09年になってしまった。

まあ、その分かなり濃ゆい内容に仕上がっていると思われるので、問題意識のある方には
読み応えのある内容だと思う。

【強くオススメしたい人】
・卒業時期で人生が決まるのはおかしいと感じている氷河期世代の人
・男性社員との間に『ガラスの天井』を感じている女性
・同じ仕事内容なのに、正社員との給料較差に疑問を感じている非正規雇用の人
・硬直しきった人事でポストが空かず、閉塞感にさいなまれる3、40代
・これから社会に出て行くことに不安を抱いている学生諸君
・フリーター系の労組に加盟しているが、憲法改正反対のデモをしても雇用問題は
 解決しないんではないかと感じている人。
・会社にしがみつくことに疑問を感じ始めた中高年
・もう単純に、今の日本はなんでこんなに生きにくいんだろうと感じている人

【取り扱いに注意が必要な方】
・赤旗を定期購読している。
・経団連の事務所の奥にはでっかい金庫があって、200兆円も小判が溜め込まれて
 いると信じている。
・再来年あたり、森永卓郎がノーベル経済学賞をとるような気がしている。
・福島みずほは今でもマドンナだと思う。

引きこもって生きるか、誰かのために死ぬか…


雑誌記事や書籍のタイトルというのは、奥が深い。
実はそのほとんどは、著者ではなく編集者が決めている。
内容を一言で表すのはもちろん、マーケティングの要素も強いので、そういった
トレーニングを積んでいる人間でないとお話にならないためだ。
そういう意味ではコピーライター的センスと言った方がいいかもしれない。

ちなみに僕自身の本もそう。最初は「なんだかなぁ」と思っても、後から思い返すと
しっくりくるから不思議なものだ。

さて、世の中には、そういったセンス溢れるタイトルネーミングが、肝心の内容を
圧倒してしまっている作品も数多い。
たいてい注視すればわかるものだが、時に気づかずに踏んでしまう。
今回紹介するのは、そんな珠玉の一品だ。

まずタイトルが凄い。本家ランボーの新作がプチヒットしたからといって、80年代の
低予算映画に「死神ランボー」と名前付けて売り出しちゃう図太さ。
きっとアレだろう、クレーム付けられたら「詩人の方だ!」とか言うんだろう。
しかも、キャッキコピーが泣かせる。

かつて、地獄のような戦場で“死神”と恐れられた男。
しかし、祖国アメリカに帰ってきた男を待ち受けていたのは、
格差社会という新たな戦場だった。


しかもパッケージには掲題の刺激的なコピーも踊る。
「格差社会」とか「引きこもり」とか、いろんなキーワードを巧みに織り込んでいる
のがよくわかる。
映画の内容と全然関係ないのは言うまでもない。

僕は仕事柄こういうキーワードには反応してしまうので、ぱくっと食いついちゃった
わけだ。参りました。

え?映画の内容はどうかって?
まあ、タイトルセンスとのギャップを楽しみたいマゾな方にはオススメですね、ハイ。

日経ネットPlus「ちょっと待った 領空侵犯」

インタビュー掲載中。
(会員登録必要)

これは、日経本紙で定期連載されている「領空侵犯」という提言紹介のコーナー
に対して、Webでコラボさせようという企画らしい。
なかなか面白いかもしれない。
日経は来年中に電子新聞の発刊を企画しているので、そういった流れを作る一環だろう。

それにしても、日経もご他聞にもれず人事制度はコテコテの年功序列なのだが
なぜか不思議とフットワークは軽い(新聞業界の中では)。
自前の印刷所、販売網整備という“大艦巨砲主義”にこだわらず、アライアンスでやりくりするという柔軟さもそう。
そんな売れてないのに設備投資の大好きな○○とはえらい違いだ。
経産省もそうだが、経済を相手にしていると、(相対的に)頭が柔らかくなるもの
なのだろう。

リクナビNEXT「明日からできるリストラ回避策」

インタビュー掲載中
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たった1%の賃下げが99%を幸せにする


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若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来
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城繁幸
コンサルタント及び執筆。 仕事紹介と日々の雑感。 個別の連絡は以下まで。
castleoffortune@gmail.com
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