「求む、〇〇をぶっ壊す人」みたいな求人を見かけた時に読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。
昨年に「2万人リストラ計画」を発表してメガバンク・リストラ競争の火ぶたを切ったみずほ銀行ですが、今回またも新卒採用の抜本的な見直しをぶち上げてきました。

【参考リンク】求む「みずほをぶっ壊す人」

「ぶっ壊す」なんて物騒な言葉がメガバンクトップから出てくるのはすごいですね!数年前だったら想像もつかないほどのイケイケぶりです。

さて、これで本当にみずほは生まれ変わるんでしょうか。「よし!俺がぶっ壊してやる!」と思った学生は挑戦する価値があるんでしょうか。

「ぶっ壊してくれ」と考える人たちのホンネ

一見するとすごく思い切った改革プランのように見えますが、実は「採用方針の見直し」というのは、もっともハードルの低いお手軽改革プランです。

なぜか。誰の既得権にもぶつからずだれも反対しないからです。たとえば「年功序列というだけで偉くなってる奴を降格する」とか「基幹職は全員高プロにして成果評価を徹底する」とかやろうとすると抵抗勢力と非常にめんどくさい交渉しないといけません。

さらに言えば、そこまで血を流して改革しても思うように成果が上がらなかった場合は経営陣の責任問題になります。「あんだけやっといて成果が上がらなかったんだから今度はトップが責任とれよ」と現場から突き上げられるわけです。

「めんどくさい改革には手を付けたくない、責任も取りたくない、誰かになんとかしてほしい」と考えた偉い人たちが最後にたどり着くのが「採用方針を180度見直します」という結論なわけですね。

「俺たち偉い人でも変えられないほど硬直した組織に入って改革してみないか?」というのが本音でしょう。

筆者の経験で言うと、採用方針を過激に見直す会社ほど内部改革で行き詰まっているケースが多い気がします。ほら、自信が無い人ほど過激なケンカ言葉を使っちゃうことってあるでしょ?アレと同じですね。

もちろん採用見直しに合わせて必要な内部改革も並行して進めるというのもアリでしょう。でもだいたい採用って、その組織に見合った人材しか普通は来ませんね。そもそも一発で組織を生まれ変わらせる人材自体が幻想だと筆者は考えています。

まずは組織改革をじっくり行いつつ、数年経ったら「そういや、なんだか最近の新人ってずいぶん昔と毛色が違うよね」ってことになってるんじゃないでしょうか。



以降、
採用方針だけ見直すと起きる3つの現象
組織の正しいぶっ壊し方





※詳細はメルマガにて(夜間飛行)






Q:「やっぱり1年目でフレックス勤務もアリな気がします」
→A:「自己管理も含めて経験させるという考えもあるのでしょう」


Q:「連合=室町将軍なら外部労組は何でしょうか?」
→A:「一番近いのは……」



読み切りコラム「実家が無くなっちゃった話 団塊ジュニアは他人事じゃないぞ!」




Q&Aも受付中、登録は以下から。
・夜間飛行(金曜配信予定)






削りやすいところから削る、取りやすいところから取るのが日本式

本年も本庶先生がめでたくノーベル賞を受賞されました(医学生理学賞)。

そして、日本人がノーベル賞受賞するたびに「でもこれは基礎研究の予算が潤沢だった80年代以前の遺産だ。文科省が国立大を法人化して予算を削り続けている今後は受賞者はゼロになるぞ」って警鐘が飛び交うのももはや風物詩となった気がします。

でも、じゃあ文科省をやっつければ問題は解決するかと言えばそんなことはありません。「俺たちをやっつけてもいいけど、じゃあ高等教育にじゃぶじゃぶつぎ込む予算はどうすんの?」というのが中の人の率直な意見です。

そうそう、安倍政権が生活保護費を削減して左界隈から非難されてますけど、アレも同じ構図ですね。別に安倍さんは生活保護受給者に興味なんかなくて、一番削りやすいところから削ってあげてるだけの話です。


政治と行政には日々いろんな要求が殺到しています。〇〇を作ってくれ、〇〇を負担してくれ、でも増税はするな……etc

高等教育の予算削ったって文句を言うのは一部の大学の先生とポスドクくらい。生活保護の予算削っても文句を言うのは生活保護受給者と一部のリベラルくらい。というかむしろ一般の勤労者の中には拍手喝采すらするものも少なくない。

だからそういう削りやすいところから先に削られるのは当然でしょう。別に誰かが悪意を持ってやっているわけではなく、日本社会のあらゆる声を政府というミキサーに突っ込んだらこういう結果になりましたので執行しますね、くらいのノリですね。


ちなみにあえて“黒幕”を名指しするなら、はっきりいって一般歳出58兆円のうち32兆円を占める社会保障関係費なわけで、要は高齢者の社会保障なわけです(平成30年度政府予算)。

ちなみに2000年時の社会保障関係費はたった16兆円だったわけで、そりゃ2倍に増えたら削りやすいところ削るしかないですね。

団塊世代が後期高齢者に突入する中でこれからもどんどん社会保障給付は増加するので、これからも「削りやすいところ」からガンガン削りまくるでしょう。

そのうちノーベル賞の受賞者がぱったり出なくなり、貧乏人がいっぱい野垂れ死にするようになるでしょう。で、そういった案件がフォーカスされるたびに「文科省が悪い!」「〇〇政権は弱者を切り捨てるな!」「財務省の陰謀だ!」とかいろんな立場の人がわかりやすいターゲットを名指しするでしょうが、いずれも“黒幕”とは程遠い単なる執行者にすぎないので何も変わらないと思います。

処方箋ですか?個人がひたすら強く生きることですね。ZOZOの前澤社長みたくいっぱい稼いで社会保障なんてなくても充実した人生を送ること。研究したかったら08年物理学賞受賞の南部先生みたく海外の大学に行って潤沢な予算にあずかること。

でも冷静に考えると日本ってすごい国ですね。同じ「強くないと幸せになれない社会」のアメリカはちゃんと高等教育や基礎研究に莫大な投資をして未来を創造している一方で、日本はそういうの削って老人のおしめにまわしているわけで。

資本主義と社会主義の悪いところだけ両立させているような気がします。


スポンサーリンク
【ギークスジョブ】フリーランスITエンジニア求人情報

書評「『3か月』の使い方で人生は変わる」




Google出身でシェアNo1クラウド会計ソフトfreeeを生み出した著者によるセルフマネジメントの実践書が本書だ。

「3か月の間、何か一つのことに集中して取り組むことで確実な成果と達成感を得られ、それがさらなる次のステージにつながる」というのがタイトルの意味だ。ちなみにそのことに気づいたのは著者が大学生の時に参加したインターンシップだという(言うまでもないがインターンといっても大手の一日インターンなどとはわけが違う)。

3か月のうち、最初の数週間はプログラミングの勉強をみっちりした。そのあと、試行錯誤を繰り返しながら本気でやり始めたら、データ集計と分析可能なかたちに整える作業が、3か月後には自動化できたのだ(もちろん簡単ではなかったが)。

新しい仕組みが生まれたことで、それまでみんなが手作業で丸一日かかっていた作業が、20~30分で終わり、分析の仕事だけに時間を使えるようになった。
(中略)
みんながやっているメジャーなスポーツや音楽などは、はっきり言って3か月頑張ったところで天井が見えているものも多い。でも一方で、3か月頑張って取り組む人のいないテーマが、世の中にはたくさんある。

だからこそ、誰かが本気で取り組んだことのないニッチなテーマに、あえて3か月注力してみる。その結果、世の中にインパクトを与える成果が生まれ、かつ達成感が得られ、ときに自分でも気づかないうちに人生が変わっていくことがある。


その点以外にもGoogleで吸収した「個人の能力を最大限発揮するノウハウ」と著者オリジナルの工夫の詰まったお買い得の一冊となっている。

きっとビジネスパーソンなら読み進めるうち「あるある」と自分でも納得する箇所に遭遇するに違いない。中でも筆者がとりわけ共感したのは以下の箇所。

やりたいことがいっぱいあるのに、時間が足りない。
しかも、目の前の事務的な作業がなかなか終わらずに、自分が本当にやりたいことになかなかたどり着けない。そう感じている人は、事務的な作業がもたらす充実感の錯覚に取り込まれている可能性がある。
(中略)
うんうん悩みながら企画を考えるより、淡々と目の前のレシートをすべて登録して経費精算するほうが、その時間は絶対に気持ちがいいはずだ。でも、新しい価値を生む企画を考える方が、生産性は明らかに高い。

だから、事務的な作業は「充実感がある割に生産性は低い」とはっきり意識しておく必要があるのだ。


恐ろしいことにビジネスパーソンの中には、この事務的な満足感にどっぷり漬かったまま40代に突入してしまう人が少なくない。そうなると立派な「ルーチンワークしかやらない、新しいことにはとりあえず反対から入る」マンの誕生である。

筆者もよくメルマガで言っているのだが、20代のうちにルーチンワークはさっさと終わらせて浮いたリソースを自身のコアな付加価値領域に投入するクセをつけておかないと、35歳以降で決定的な人材格差が生じることになる。

とりあえず現職で生産性向上やキャリアアップを図りたいという人は、本書のノウハウの半分ほどでいいから実践してみるといいだろう。3か月経ってみればいろんな気づきが得られるはずだ。


スポンサーリンク

消費税を上げないからサラリーマンはこんなに損をしている

安倍ちゃんがだらだら消費税引き上げ先送りするもんだから社会保険料の引き上げが止まらず、いまや組合員の払った保険料の実に4割が高齢者医療にカツ上げされている状況だ。

おかげで企業の健保組合が死に体になってるよという話は各種メディアで報じられている通り。

とうとう健保連の偉い人まで出てきて窮状を訴えているのでサラリーマンはよく読んでおこう。普通なら絶対表には出てこない人たちだから。

【参考リンク】75歳以上の2割負担実現を=国民皆保険「崩壊の危機」-健保連副会長インタビュー

高齢者医療費は税金で賄うか、現役世代の保険料を上げるか、自己負担を増やすか、3択だ。



現役世代の事業主負担分も含めた実質的な負担はすでに4割を超えていて江戸時代の農民並みの負担だ。小作農並みの負担にされたくなかったら高齢者の自己負担分を増やしつつ合わせて消費税も引き上げるしかない。

【参考リンク】2019年の年金大改悪 給料の60%超が天引きされる異常事態も

健保連副会長のインタビューでは消費税の10%以上への引き上げにも言及されている。

-消費税については。
 アップは不可避だ。早く10%に引き上げ、その次のステップを考えてほしい。


はっきりいって責任ある地位についている人たちの中で「消費税は10%でオッケー」って考えている人はいない。20%前後の引き上げはもう時間の問題だ。

だったらどうすべきか。できるだけ速やかに上記2つの手を打って少しでも引き上げ額を抑制するのがベストだろう。

ついでに言うと、高齢者の自己負担を増やしたり消費税を上げることには、高齢者自身の意識を変えるという効果もある。今までは無自覚だったのは「別に増税なんてしなくてもなんとかなってるじゃん」と彼らが流してきたからで、実際に自分たち自身も負担が増えることで「社会保障そのものを見直そう、無駄を省こう」という気運が高齢者自身の中からも盛り上がってくるはずだ。

でもまあわかりますよ、世の中には「現実よりも自分の見たいものしか見ない」人たちが一定数いるってことも。

そういう人たちは、東大とか一橋とか慶応で現役で研究している教授の話は聞かないけれども、聞いたことない大学のセンセイとかネット初の胡散臭い珍説を読んで「国家の借金は国民の資産!」とやるのが好きってことも。

でも過去それを続けてどうなったか。

08年に後期高齢者医療制度が始まって10年がたった。この間、従業員1人当たりの年間収入は約4万円減ったが、天引きされる保険料は10万円超増えた。そのうちの6万円以上は高齢者医療への負担金だ。



いい大人なんだから、そろそろ「見たいものだけ見る」人生とオサラバした方がいいんじゃないですかね。



40歳以降のメンタルコントロールって何をどうすべきなの?と思った時に読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。
先日書いた「告白」の書評が意外と反響があってちょっと驚いています。書いたときには気づかなかったんですが、どうやら41歳で引退した後に迷走を続ける清原氏に、自身のキャリアを重ねる人が少なくなかったことも反響の一因のようです。

【参考リンク】書評「告白」

実は日本型雇用においては40代というのはいろいろな意味で重要な分岐点だったりします。というわけで、今回は40代についてまとめておきましょう。

魔の四十代

日本企業における幹部候補選抜は、一般的に言って30代半ば~40代前半のタイミングで課長ポストに上がれるかどうかで決まります。

それでどのくらいが課長級以上に上がっているかというと、最新の調査では15%にも満たないという数字も出されています。運よく課長に上がれたとしてもその先の部長以上をイメージできる人は超少数でしょうから、ほとんどの人が40代で打ち止め感を感じているに違いありません。

【参考リンク】出世遅れ転職少なく 動けない40代、賃金伸びず

ちなみにわたくし、8年ほど前に「7割は課長にさえなれません」という著作を出した際には「オーバーに煽りすぎだ」とか「日本型雇用はずっと安泰だろ」とか色々言われたもんですが現実には「7割どころか8割以上ヒラ」という恐ろしい状況が出現したわけです。

日本型雇用の報酬というのは突き詰めれば“将来の出世”につきます。そのバーターとして「会社が指示した仕事は徹夜でも何でもしてやり遂げろ、全国転勤もしろ有給はあんまし使うな」的な働かせ方をされることになります。

そうやってがむしゃらに働いた挙句、40代になったら梯子外されて放置されるわけです。

なんてことを書くと外資の人なんかは「別にマネージャーに昇格しなくてもプレイヤーでボーナスがんがん稼げばいいだろう」と思うかもしれませんが、少なくとも毎年春闘で労使交渉してるような企業は、そんなメリハリのついた賃金制度じゃありません。

せいぜい頑張っても同期より100万円増えるくらいの可愛いらしいボーナスです。それも業務範囲の切り分けが曖昧な現行の評価制度では、きちんとワークしているとはとても言えない状況でしょう。

「日本企業の評価制度はほぼ形骸化している」というのは筆者だけではなく、多少とも俯瞰的な視野を持っている人事担当なら同じ意見のはずです。

【参考リンク】「企業の人事担当者の中で「わが社の成果主義はうまくいっている」と胸を張って言える人は皆無なのではないでしょうか」

まあそんなわけで、出世もボーナスも期待できない状況で、なんのために働くか、何を目標としてキャリアを形成するか、そういう動機付けは全部自分で考えださないといけないわけです。

これは結構大変なことだと思います。その大変さは数字にも表れています。「心の病の最も多い年齢層は40代」と回答した企業は35.8%とトップであり、2位の30代32.6%と合わせ40歳前後で展望が描きづらくなっているのがよくわかります(第8回「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査・日本生産性本部)。

ちなみに上記の調査では3年前の調査と比較して20代が18.4%→27.9%と急激に伸びている点も注目されました。単線型キャリアパスの限界はいまやどの年代に対しても明らかとなりつつあるということでしょう。


以降、
メンタルの踊り場は3度ある
会社に居場所がなくなった時にどうすべきか




※詳細はメルマガにて(夜間飛行)





Q:「労働市場流動化のプロセスとは?」
→A:「たぶんパラパラと崩れ落ちるイメージです」



Q:「マネージメントより現場という選択肢はアリ?」
→A:「もちろんアリですがキャリアの幅は意識した方がいいです」



Q:「アベノミクスのつけってどういう意味でしょうか?」
→A:「安くて度数の強い酒が売れる代わりに税収が増えるわけです」





雇用ニュースの深層


退職希望者にカウンターオファー65%も!

むろんすべての従業員が交渉できるわけではありません。普段から交渉するに値する人材になるべくたゆまぬ努力が必要です。


取れるところから取りすぎちゃったもんで健保組合がもう死にそう


「消費税はみんな反対するから取りやすいところから取っちゃえ」とやってきたツケで健保組合が瀕死です。



他。




Q&Aも受付中、登録は以下から。
・夜間飛行(金曜配信予定)





スポンサーリンク


ENTRY ARCHIVE
著作
「10年後失業」に備えるためにいま読んでおきたい話


若者を殺すのは誰か?


7割は課長にさえなれません


世代間格差ってなんだ


たった1%の賃下げが99%を幸せにする


3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代


若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来
MY PROFILE
城繁幸
コンサルタント及び執筆。 仕事紹介と日々の雑感。 個別の連絡は以下まで。
castleoffortune@gmail.com
RECENT COMMENT
SEARCH
QRコード
QRコード
お問い合わせ
お問い合わせはこちらまで