在宅勤務で一人働き方改革を実現する方法

今週のメルマガ前半部の紹介です。コロナウィルスのせいでなし崩し的にリモートワーク態勢に突入しつつある日本企業ですが、現場レベルでは概ね好評のようです。

【参考リンク】「アドビ システムズが発表したテレワーク勤務の利点や課題についての調査結果によると、8割以上が業務の生産性が上がったと感じ、9割以上が定期的にテレワークを実施したいと回答した」



ホワイトカラーの仕事なんて労働時間で評価できるわけないんだから、さっさと切り分けて各人がベストと考えるやり方でやった方が絶対いいに決まってるんですよ。

前回のメルマガでも述べた通り、このメリットを知ってしまった以上、企業も個人も以前の“文化祭方式”の働き方にはなかなか戻れないでしょう。リモートワーク、ひいては日本人の働き方はポスト・コロナで大きく進化するはずです。

とはいえ、どう働き方を見直せばいいのかわからないという人もまだまだ多いはず。というわけで、今回は個人が従来のワークスタイルを見直すべきポイントについてまとめておきましょう。


リモートワークはこう使え

従来の日本企業の働き方は、明確に業務の切り分けを行わず、全員で同時に取り組むというものでした。これには変化する状況に対して職場単位で流動的に取り組めるというメリットがありました。

一方で、デメリットとしては個人の裁量が限定的、できる人に仕事が集中するので皆ほどほどにやるようになるといったものが挙げられます。これが生産性低迷の要因ですね。

リモートワークを前回述べたような形である程度運用できていれば、ビジネスパーソンの手元には以下の3つの武器がそろっているはず。あとはそれを駆使して上記のデメリットを打破していくのが基本となります。

1.優先順位を付けられる

完全にパラレルに仕事が切り分けられるケースは少なくて、実際には同僚と連携しながら進めることが多いでしょうが、それでも一日の中で業務を進める優先順位くらいは付けられるはず。

もっとも脳が元気で体力も満タンな午前に重要度の高い仕事を持ってきて、事務作業や打ち合わせは午後に回すだけでずいぶん生産性は上がるはずです。

「これ絶対誰かが仕事してる風に見せるために作った仕事だよね?」みたいな仕事、きっと誰でも一つや二つは抱え込んでいると思いますが、もちろんそういうのは優先順位最下位でOKです。

筆者ならいっそのことやらないまま放置して実際に損害が発生するか実地試験してみますね。誰も困ってないようだったら業務廃止の根拠になりますから。

2.効率的に働ける

日本人は定時(それも会社によっては定時30分前とか変なルールがあったりする)に出社するのが正しい働き方だと子供のころから叩き込まれていますが、もちろんそんなことはありません。

効率的な働き方は人それぞれ。筆者の知人には朝4時起床で9時までに重要な仕事はすべて終わらせるという人も、ランチの後にジムワークを入れてそのまま退社、夜に2時間だけ復帰、という人もいます。聞くと「それが自分にとってもっとも効率的な働き方だからそうしている」とのこと。

もちろん世帯全体の効率も考えてOKです。たとえばパートナーのことを考えて幼稚園の送り迎えをしてから仕事、というのもありです。

要するに、今まで職場という制約があってできなかった柔軟な働き方をすることで、自身やパートナーの生産性を向上させるわけですね。

3.ミッションが明確なので新しい課題に取り組める

そして、とりわけ重要なのが「自身で新たな課題を見つけ取り組める」ということです。

従来の働き方だと手の空いた人間がパッパッと作業に取り掛かるので一見すると合理的に見えるんですが、各人のミッションが曖昧なので深掘りする人が少ないんですね。

むろん全員ではありませんが、ミッションが明確になっていれば、仕事そのもののボトムアップを考える人が必ず出てくるわけです。

たとえば採用チームで担当者が「君のミッションは早慶、東大東工大クラスの優秀層の母集団形成だ。頼んだぞ」と言われた場合。

もちろん指示に忠実にせっせと母集団形成の方法を考えるだけでもOKなんですが、きっと中にはこんな課題を見つけ出す人もいるはず。

「そもそも早慶、東大東工大OBってうちでホントに継続的に成果を上げているの?優秀層の定義はそれで正しいのか?」

で過去10年分の採用者の入社後5年のパフォーマンス調査をやってみたりした結果(たとえばですよ→)「早慶は人によってピンキリ、東大は理系修士以上は優秀と言えるが文系はそうでもない」みたいな結果が出たりするわけです。結果、採用活動そのものがレベルアップするわけですね。

昨年より、働き方革命の旗のもとに「重要なのは時間ではなく成果!」「仕事の付加価値を高めよう!」みたいなことが散々言われてきましたが、さて実際に何をどうするのかとなると具体的な話がなかなか出てこないような状況が続いていました。

でも幸か不幸か、それを実現するための3つの武器は、リモートワークによってビジネスパーソンの手に入ったわけです。それを活用できるかどうかで人材レベルに大きな差が生まれることでしょう。





以降、
無駄な仕事を一気に切り捨てるチャンス
仕事の少ない人はこれがラストチャンスと考えるべし!





※詳細はメルマガにて(夜間飛行)






Q:「社内の匿名アンケートは信用しても大丈夫ですか?」
→A:「問題ないと思いますが……」



Q:「『大学なんて行かなくていい』という子供になんというべき?」
→A:「とりあえず『大学出ておけばなんとかなる』という時代が終わったのは確かです」





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会社にリモートワーク推奨されたんだけど何から手を付ければいいの?と思ったときに読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。中国武漢発の新型肺炎のウイルス感染者が日本各地で次々と報告される中、日本企業が相次いでリモートワーク導入にかじを切っています。

【参考リンク】GMO、新型肺炎で国内4000人を在宅勤務に
【参考リンク】ドワンゴ、新型肺炎で1000人を在宅勤務に

以前からこうした状況を予測して入念に準備を進めてきたGMOはさすがという感じですね。全社員に即日在宅勤務を指示するドワンゴも素晴らしいフットワークだと思います。

でも筆者が個人的に一番驚いたのはNTTですね。

【参考リンク】新型コロナ対策でNTTが約20万人の従業員に“テレワーク”推奨


“親方日の丸”の本家本元、従業員数20万人の巨象NTTが全従業員にテレワーク推奨ですから。これで追随する企業がかなり増えた印象がありますね。

とはいえ、ほとんどの企業は「あくまでも推奨」という形で実際の運用は現場の事業部レベルに任せているのが実態です。実際に「会社から推奨されて完全無視というわけにもいかないため手探りで運用を模索中」といった話をちらほら聞きますね。

というわけで、今回は現場レベルでテレワークとどう向き合うかを取り上げたいと思います。中間管理職の方にはもちろん、チームレベルでどうコロナ危機を乗り越えるかに関心のあるすべてのビジネスパーソンにとって示唆に富む内容となるはずです。


日本企業にとって“鬼門”だったテレワーク


テレワークそのものはもう30年以上前から存在する言葉ですが、これまで日本ではまったくといっていいほど浸透しませんでしたね。日本企業においてはみんなが同じ時間に同じ場所にそろって仕事を開始するというのが大前提だったためです。フレックス勤務や裁量労働がいまいち評判がよくないのと同じ事情ですね。

「日本人の横並びを愛する国民性のためだ」みたいなことを言う人もいますが、むろんそんなことはありません。ちゃんとした理由があります。それは人事制度がそうなっているためです。

意外と知らない人が多いんですが、日本以外の国では、入社に際して職務記述書という契約書を会社と交わして「〇〇の仕事を担当し、それに対して報酬はいくらもらう」ことを明記します。

これだと最初から業務内容も報酬も明確で、成果評価もクリアになりやすいというメリットがあります。そして、各々の担当業務がはっきりしているから柔軟な働き方も可能です。毎日午後から出社しても「自分の担当業務できっちり成果出してますんで」とバーンと言えちゃうからですね。

一方、われらが日本国の場合「入社時に具体的な業務内容は決めず、会社に与えられる仕事は何でも全力で取り組む。給料は一律からスタートして勤続年数に応じて緩やかに上昇」という独特の風習が一般的です。というかもうこの時点でマトモな外国人は絶対入社しないですが(苦笑)

担当業務がよくわからず成果もわかりにくいため、評価するには実際の働きぶりを目で見て評価するしかないんですね。だから「同じ時間に出社させ同じ職場で働くこと」が大前提なんです。

テレワークが浸透しなかったのもフレックスや裁量労働が馴染まないのもこういう構造的な事情が根っこにあったわけです。


この構造問題こそ働き方改革の本丸である理由


この構造的問題、他にもいろいろなテーマに絡んでくる重要な話なので今回は少し具体的に掘り下げておきましょう。

わかりやすくするため、百科事典をこれから編集するプロジェクトがあったとします。世界標準の職務給方式に従えば、メンバーはあらかじめこんな風に担当を割り振られることになります。

「Aさんは“あ行”、Bさんは“か行”を担当してください。Cさんは“さ行”ですがちょっと業務量が多いのでその分賃金は割増しますね」

といってマネージャーがそれぞれの担当するワードの書かれたカードを配って作業開始。
担当範囲が明確に割り振られているので、出社時間は自由だし在宅勤務もOKです。

一方、日本が世界に誇る終身雇用方式だとどうなるか。管理職がすべてのカードを大部屋の真ん中にどばっと広げてこう言うわけです。

「さあさあみんな仕事仕事!しっかりやってね!」

日本式のマネジメントなるものは、その中で各人の働きぶりを見て行われることになります。リモートワークなんて論外ですね。

くわえて、以下のような諸問題も発生します。

「早く仕事終えて帰ろうとすると管理職が追加で仕事振ってくる問題」

Aさんがデートのためにいつもの2倍集中して作業し、普段の量の仕事を定時で終わらせて退社しようとすると、管理職はこんな言葉をかけてきました。

「あ、きみ暇なんだ。じゃあ遅れてるCさんの作業手伝ってよ」

こうして早く仕事をすればするほどどんどん仕事量自体は増加することになります。査定で評価されることはあるかもですが基本お給料は変わりません。

結果、なんとなく退社が許される20時頃までゆっくり仕事する人が増えるので生産性は下がります。

「有給使うと白い目で見られる問題」

Bさんは連休に有給休暇を2日ほどつけて趣味の海外旅行に行きました。ところが帰ってきてからというもの、なんだか同僚の態度がよそよそしいことに気づきます。

「みんな連休明けで遅れを取り戻そうと頑張ってるのに、なんであいつ一人だけ遊びに行ってるんだよ」
「そういえば去年もあいつだけ有給使ってたな」

職場には「病気や身内の不幸なら有給とってもOK」という“空気”があります。そのうちBさんも空気を読んで、趣味での有給使用は控えるようになりました。


よく日本の有給取得率が低いのはまじめな国民性のせいだ、みたいなことをおっしゃる人がいますが、そんなことないですね。担当範囲を明確に割り振らぬままみんなで一緒に働くスタイルなら、どの国の出身者だって足の引っ張り合いを始めるはずです。これも構造的な問題なんですね。

【参考リンク】日本が最下位?有給所得率の最新国別ランキング

「育休や短時間勤務を利用すると陰口叩かれる問題」

Cさんが出産し、育休を取得したのちに短時間勤務制度を利用し始めました。ところが、復職後にCさんは同僚たちの間でいろいろと嫌味を言われていることを人づてに耳にします。特に同性ほどひどい批判を口にしているとのこと。

「あいつは自分だけ制度にただのりしている」
「組織に対して義務を果たしていないくせに」

2人目を妊娠した時、Cさんはいたたまれずに会社を退職することを選択しました。


これも有給の件と同じですね。みんなで仕事する職場でこうした制度を利用すると、それは他者からはフリーライドに見えてしまうわけです。

よく、わかってない識者が少子化対策として「育休の期間や給付金を拡充しよう!エイエイオー!」みたいなことを言ってますが、上記の構造問題にまったく関係ないどうでもいい政策だというのは明らかですね。現状だといくら金ばらまいたって大手のごくごく一部の高学歴キャリアウーマンが潤うだけの話でしょう。

まとめると、日本の働き方をめぐる諸問題の根っこには、業務を明確に割り振らず無制限に引き受けさせるという構造上の問題があるわけです。

メリットですか?一つだけ思いつくのは、会社が指図しなくても従業員が「あいつは休んでけしからん」みたいな自警団を勝手に結成して風紀(?)を引き締めてくれることですかね。

有給与えても使おうとしない、命じなくても居残って残業するカルチャーは、経営側からすればメリットに思えたかもしれませんね。もっとも、そんな重箱の隅をつついていれば利益の上がった時代なんて高度成長期からせいぜい80年代後半までだと思いますけど。

現在では職場環境を悪化させてむしろ生産性を下げる効果くらいしかないように見えます。

ちなみに筆者はそうした働き方のことを“文化祭方式”と呼んでいます。特に担当を割り振るでもなく、みんな教室で一緒に作業する。手を抜いていると思われると仲間内で悪評がたつので「ぶっちゃけいらないような仕事」もどんどん手を出し頑張ってるふりをする。

そうやって最後は「もう遅いから、今日はおしまい!」と先生に言われてようやくお開き……というアレですね。

まあ10代の頃は仲間同士和気あいあいとやるのも楽しいもんですが、会社でいい年こいたオッサン中心でやってもストレスフルなだけなのでオススメはしませんね。





以降、
今すぐリモートワークを始めるには
トンネルの先に待つ明るい未来







※詳細はメルマガにて(夜間飛行)







Q:「転職に対するカウンターオファーは日本でも有効?」
→A:「非公式には既に始まっています」


Q:「副業をどうやって見つけるべき?」
→A:「ずばり、今持っている人脈を活用することです」





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モリタクと私

今週のメルマガ前半部の紹介です。先日、ネットをあれこれ見ているとモリタクこと森永卓郎が面白いことを書いているのを見つけました。

【参考リンク】山本太郎は嫌いでもMMTは嫌わないでください


最近はMMT推しでメディア露出を図っているようですね(笑)

筆者はもともとモリタクのことが大嫌いでしたが、最近は一周回って「むしろこの人はすごい人なんじゃないか」と畏敬の念すらおぼえることもあります。

モリタクは日本で一番メディアの本質を理解している“識者”である、というのが現在の筆者の感想ですね。

というわけで、今回は私的モリタク論をまとめておこうと思います。氏の立ち位置を振り返れば、メディアの本質を理解し、真に目を通すべきもの、スルーすべきものを見分けることも可能でしょう。そしてそれはキャリアデザインの貴重な一助ともなるはずです。


アベノミクスで見せた鮮やかなポジション調整

もともとモリタクはリフレ派の論客として有名でしたね。日銀が金融緩和すれば物価も賃金も上がってデフレ脱却できるというアレです。ニュースステーションで「自分を日銀総裁にしてくれればすぐにデフレ脱却してみせる」と熱弁したのは有名な話です。

ところが。そのリフレ政策を全面的に採用した第二次安倍政権が誕生し、アベノミクスがスタートするや、氏はあっさり転向します。

要約「本当に物価2%上昇なんて実現したら国債金利上昇で国の負担が激増するし金融機関がバタバタ潰れるからそんなの非現実的」

【参考リンク】アベノミクスの真実 リフレ政策の終わりの始まり


いや、今だったらわかるんですよ。誰かさんが当初「2年で物価目標達成できなかったらいつでも辞めます」と豪語していたのに6回先送りした挙句にとうとう目標時期を展望レポートから削除したり、マイナス金利まで導入してメガバンクをリストラに追い込むほどに痛めつけながらも目標未達の今だったら。

実際、過去の発言を無かったことにしてフェイドアウトしようとしてる論者はいっぱいいるわけで。

でもモリタクの上記発言はまさにアベノミクスへの期待がみなぎり株価がイケイケどんどんで上昇している最中なんですね。

要するに、氏は最初からリフレなんて1ミリも信じちゃいなかったんでしょう。それどころかホントにそんなことやったら庶民の生活が苦しくなって恨みを買うだけなので早めにポジション調整しなきゃと考えたんでしょう。

2年後には「日銀が追加緩和を見送ったから実質賃金が上がって庶民にとってはプラスだ」とまで踏み込んでいます。

【参考リンク】森永卓郎氏 日銀方針転換で「2015年度の日本経済に光明」


では、その結果はどうでたか。SNS上には、期待を裏切られ今やすっかり強烈な“アンチリフレ派”となったかつての信者たちのコメントが散見されます。そんなの自分で支持したんだから自己責任なんですが、もともと彼らは他力本願で自分の人生が上手くいかない原因を常に誰かに押し付けたがるような人たちなので、怒りの矛先をかつての教祖たちに向けているわけです。

でも、そのヘイトの対象にわれらがモリタクは含まれてはいません。というか、むしろそうやって怒り狂う元信者に「ねえ、もっと美味しい話があるんだけどどう?MMTって言うんだけどさ……」と優しく語り掛けながら新たな信者層を形成する側にちゃっかり回っているわけです。

節操がない電波芸人と言われればそうですが、並みのバランス感覚、胆力ではできない芸当だと思いますね。




以降、
モリタクの素顔
2種類のメディア






※詳細はメルマガにて(夜間飛行)








Q:「副業をカミングアウトしても大丈夫?」

→A:「副業自体は問題ないはずです」



Q:「これは退職勧奨なんでしょうか?」
→A:「次回面談の対応でわかるはずです」




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どうして日本人の賃金だけ下がり続けてるの?と思ったときに読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。
先日、「実はここ30年間で日本人の賃金だけが下がり続けている」という衝撃の事実が複数のメディアで報じられ大きな波紋を呼んでいます。ワイドショーでも取り上げられたので驚いた人は多いんではないでしょうか。

【参考リンク】日経新聞「米国では年収1400万円は低所得」が大炎上

【参考リンク】OECD加盟国で日本の実質賃金が「一人負け」状態に…玉川徹氏「先進国じゃない」



筆者自身は知ってはいましたけどこうやってあらためて諸外国とグラフで比較されると「あれ内戦でもやってたっけ?」と思うくらい見事な下がりっぷりですね(汗)

これをうけてネットでは早速「全部デフレが悪い」だの「安倍政権と財界の陰謀だ」だのといったトンチンカンな議論がわいているようです。

なぜ日本人の賃金だけが一人負け状態なのか。そして、その中で生き残るにはどうすべきなのか。キャリアデザインする上でも非常に重要なテーマなのでまとめておきましょう。



下がるべくして下がった日本人の賃金


日本人の賃金が下がり続けている理由はいろいろありますが大きく分けて以下の3点です。


1.バブル崩壊後に未来をリストラしたから

日本では解雇はもちろん、一度上げてしまった賃金の引き下げにも高いハードルが科されます。最近でこそ力業でやっちゃう企業も出てきていますが、90年代はタブーでしたね。そこで不況時にはとりあえず20~30代の昇給を抑制したわけです。

すると10年くらいたって高給取りの50代が定年退職するとあら不思議、全体の賃金カーブが下がって労働分配率も低下することになります。筆者自身、90年代にこの「未来をリストラする作業」に携わっていたのでよく覚えていますね。

「こりゃあ21世紀は質素倹約が流行って高額なものが売れない時代になるだろう」ということはなんとなく予想していました。


2.定年が伸びたから

80年代までは55歳だった定年が、90年代には60歳に、そして21世紀になってからは実質的に65歳に延ばされています。すべて「あのさあ、年金財政が厳しいから企業で面倒みといてよ」という政府の強い意向で一方的に押し付けられた格好です。

で、当たり前の話ですが長く雇わせるほどに賃金は下がります。その間のリスクを織り込まないといけないからですね。意外と知らない人が多いんですが解雇しやすいほど賃金は上がるんです。

たとえば、あなたが経営者だとして、まったく同じ能力、スキルのA氏とB氏を採用するとします。A氏は毎年年俸交渉して場合によっては解雇も可、でもB氏は原則20年間雇い続けるとすると、それぞれにいくら払うでしょうか。

筆者の感覚だとA氏に1千万円だとするとB氏はせいぜい600万円くらいでしょうね。こんな感じで、定年が伸びていくたびに見えないけれども強烈な賃金抑制圧力が日本人全体の賃金にかかってきたわけです。

あ、そういえば安倍ちゃんがつい先日「70歳(古希!)まで会社に雇わせます」宣言してたので、もう一段の引き下げはあるでしょうね。

【参考リンク】70歳までの就業確保、企業の努力義務に 厚労省決定


3.社会保険料が上がり続けたから


平成元年は17%ほどだった社会保険料ですが、現在は30%近くにまで達しています。この流れに変化は見られず、もはや30%突破は時間の問題とされていますね。

【参考リンク】迫る会社員保険料30% 健保連「22年危機」と改革訴え


と書くと「でも実際は労使折半なんだから半分は会社が負担してくれてるんでしょ?」と思う人もいるでしょう。実際には会社から見れば社会保険料もすべて含めて“人件費”なので、社会保険料の高騰は賃金を圧迫するわけです。

【参考リンク】サラリーマンが目先のベアより社会保障の抜本改革を要求すべき理由

それにしても、サラリーマンってホントに心の広い人たちだなっていつも感心してますね。消費税はなかなか上げさせない一方で社会保険料のハイペースの引き上げはスルーしてるわけで。

まるで「お年寄りや自営業者、ニートに負担させるわけにはいかない。俺たちのランチなんてワンコインで十分、日本の社会保障は俺たちが支えるぜ」って言っているように筆者には見えますね。実際に言ってる人に会ったことはないですが。

あと消費税の話をすると高確率でわいてくる「消費税は逆進性があるし景気に悪影響だからダメだ」みたいなことをいう人も不思議ですね。それって「サラリーマンは人間以外の何か」って言ってるようなもんなんですが、そういう人たちの頭の中はどうなってるんでしょうかね。

というわけで、まとめると終身雇用縛りというルールの中で一方的に定年伸ばしたり社会保障給付のツケを保険料という形で押し付けてきた結果、日本人の賃金は一人負け状態になったわけです。

なので処方箋としては解雇規制緩和して定年制度そのものを廃止、消費税は思い切って20%くらいに引き上げたうえで社会保険料を2000年くらいの水準に戻すということになります。増税幅を抑えたいなら高齢者の窓口負担引き上げなんかもアリでしょう。

今回の一件に関してはとくにリベラルから「安倍政権の失政が原因だ」みたいな批判が上がってますが、完全にアホですね。じゃああんたら上記の処方箋やる気あんのかと。全然無いでしょ(笑)

むしろ共産党とか立憲民主党とか、上記の処方箋の逆方向にアクセル吹かすだろうから政権交代しちゃったらもっと賃金下がるでしょうね。

期末試験で30点だった安倍ちゃんを、赤点とって留年確定した人たちが批判しているようなものなんでスルーしといてOKです。





以降、
今後想定される2つのシナリオ
発想の転換でバラ色のデフレ社会を生きる






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Q:「大阪はダメでしょうか?」
→A:「維新次第じゃないですかね」



Q:「この出向は前向きに受け止めるべきでしょうか?」
→A:「とりあえず受け入れる側は前向きです」






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2020年のトレンドを読む

今週のメルマガ前半部の紹介です。
2020年一発目のメルマガです。というわけで本年から2020年代がどのような時代になるのかについて、雇用を切り口に予測してみたいと思います。

戦後の日本社会というのは、良くも悪くも終身雇用という形でセーフティネットを企業に丸投げしてきた側面があります。ということは、そのトレンドの変化は雇用のみならず社会全体に大きな影響を与えることを意味します。

これは入口段階で“終身雇用”の柵の中に入れてもらえない人が続出した氷河期世代がその後にどうなったかを見ても明らかですね。

ちなみに筆者は2006年頃から「終身雇用だと入り口でコケたらなかなかリカバリーできず、40代以降に深刻な格差が生じるはず」と主張し続けてきましたが、それは不幸な形で平成の最後に実現してしまった感がありますね。

【参考リンク】氷河期世代支援、国家公務員採用など明記 政府行動計画

果たして2020年代、令和の新時代はどのような風景が待っているのでしょうか。


中高年の流動化

筆者の知る範囲でも、昨年後半より多くの大企業で早期退職の募集が水面下で検討されています。人口減社会が到来し長期的に国内マーケットの縮小は確実なのに、一方的に「社会保障の財源ないからとりあえず企業には70歳まで面倒みさせるようにするわ」なんて言われたらもう動くしかないですね。

業種は内需外需関係なしに幅広い業種で実施されるはず。とりわけ同じ業種の有名企業や業界大手が昨年中に早期退職や配置転換を実施している場合は株主等から強い圧がかかるため、後追いで追随するパターンが増えると思います。

とはいえ、2000年代初頭のリストラのような悲壮感はほとんど感じられません。理由は、現在は人手不足によりほぼ完全雇用状態に近く(贅沢さえ言わないなら)転職先が誰にでもあること、現在の企業業績そのものは上々なので手厚い割増退職金、再就職支援等が受けられるためです。

実際に募集企業の人事担当からは「10年前にも募集したがあの時とは全然違ってすぐに予定人数が集まった」という話も耳にします。「どうせ70歳まで働かされるんなら自分のやりたいことやろうぜ」という姿勢は筆者もとても合理的だと考えますね。

というわけで、これからしばらくは主に大企業の40代以降正社員の流動化が続くことでしょう。おそらくメディアでは、40代以降に第二の“就活”を経てバリバリ働く“社会人再デビュー中高年”と、割り切って今の会社で淡々と糊口をしのぐ“割り切り中高年”がそれぞれクローズアップされることでしょう。

→ メディアに取り上げられそうなトレンド 【再デビュー中高年】【割り切り中高年】






以降、
新卒作用の二極化
〇〇〇〇〇コースの普及
〇〇の〇〇〇の模索






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Q:「50歳手前の官僚ですが今からの転職で注意すべきこととは?」
→A:「棚卸しをしつつ、腹をくくって最後のご奉公をすることです」



Q:「日本人の賃金をげるために何が必要でしょうか?」
→A:「解雇規制緩和や社会保険料引き下げでしょう」







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「10年後失業」に備えるためにいま読んでおきたい話


若者を殺すのは誰か?


7割は課長にさえなれません


世代間格差ってなんだ


たった1%の賃下げが99%を幸せにする


3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代


若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来
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城繁幸
コンサルタント及び執筆。 仕事紹介と日々の雑感。 個別の連絡は以下まで。
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