2018年、日本は本当の格差社会に突入する

今週のメルマガ前半部の紹介です。
はやいものでもう12月ですね。この時期になると「来年の労働市場や雇用問題はどうなるか」みたいなテーマで話をしてくれ的なオファーが複数くるものです。というわけで、今回は2018年に労働市場がどう動くか、普段は話せないレベルまで突っ込んでまとめてみたいと思います。

2018年はずばり格差の拡大する年になるでしょう。

正社員と非正規雇用の格差拡大→固定化へ

2018年というのは、雇用的にいろいろな節目の集中する年です。まず2013年施行の改正労働契約法で誕生した「有期雇用5年経過で本人が希望すれば無期雇用に転換しなければならない」という5年ルールがいよいよ作動する年です。で、さっそく雇い止めの動きが活発化しています。

【参考リンク】自動車大手、期間従業員の無期雇用を回避

【参考リンク】<東北大雇い止め>対象1140人 9割が雇用期間5年超

「5年も雇ったんだからずっと仕事はあるはずだ」と単純に思う人もいるかもしれません。でももし来年凄い不況になった時にみんな無期雇用だと非常に問題があるわけです。である以上、組織はリスクの芽を摘んでおくしかありません。悪いのは景気には波があるということを理解せず規制で何でも実現できると信じる頭の固い人たちの方です。恐らく上記の現場はこのままずっと働いて欲しいと思われている人たちが少なくないでしょうが、組織としても泣く泣く雇い止めにしているのでしょう。

特に、大学等の研究機関には有期で働く研究職が大勢いますから、筆者はこの5年ルールは日本の長期的な基礎研究、競争力に計り知れないダメージを与え続けることになるとみています。

ちなみにこの5年ルール、日弁連が最初に提言し、共産党や社民党が支持、民主党が政権与党時代に仕込んだものです。たぶん上記の朝日新聞みたく「法改正の趣旨をないがしろにする脱法行為だ」みたいにムリヤリ企業批判につなげようとするメディアも出るでしょうが、はっきりいっておバカな法改正の責任です。改正前から絶対こうなるからやめろやめろと言われ続けたとおりになっているだけの話です。

【参考リンク】論理的に考えられない長妻昭議員

たぶんこれから春先にかけて日本中で雇い止めになる非正規雇用の人が続出するでしょうが、そうなったら「ああ、民主党さまが6年前に仕込んだ時限爆弾のおかげだ」と諦めて、民進党とか立憲民主とかの候補者を見かけたら泣きながら手を振ってあげてください。

それから、2015年の派遣法改正の節目も2018年に到来しますね。従来は上限の無かった専門26業務を含めたすべての派遣労働者が上限3年とされ、超過すれば派遣先で直接雇用に切り替えるか、派遣元が無期雇用にする等の措置を講ずることが義務付けられています。この3年ルールでもそれなりの規模で雇い止めが発生すると思われます。

また派遣会社との間でも5年ルールは成立するため、派遣会社も派遣労働者を5年で雇い止めにすることも増えるでしょう。まとめると、来年から非正規雇用労働者は数年ごとにあちこちの現場をぐるぐる漂流しはじめることでしょう。

これは冷静に考えると結構恐ろしいことです。あなたが部長だとして、正社員と「数年でいなくなることが確定している契約社員」に仕事を割り振る時、どういう割り振りにするでしょうか。付加価値が高くノウハウの学べる仕事は正社員に、誰でもできるような付加価値の低い仕事は契約社員に任せるでしょう。

現政権は働き方改革の柱として、同一労働同一賃金の確立を掲げています。同じ仕事をしていれば雇用形態に限らず同じ賃金を払おうというものです。でも、たとえば正社員が契約社員の3倍の給料をもらっている会社があったとしても、「だって正社員は非正規の人たちの3倍の価値のある仕事をしていますから。あの人たちは誰でもできる単純作業しか経験していないから賃金格差は合理的です」と労使に言われたらぐうの音も出ないわけです。

要するに派遣の3年ルールや民主党政権の作った有期雇用契約5年ルールというのは、「付加価値の低い業務しか触らせてもらえないまま年を重ねる非正規雇用労働者を量産するシステム」だということです。そして、それが本格始動するのが来年から、ということですね。





以降、
静かに、だが着実に進むもう一つの格差拡大
非正規雇用のサバイバル術








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Q:「定年後再雇用でモチベーションを維持するには?」
→A:「再雇用者の不満で一番多いのは賃下げではなく‥‥‥」



Q:「見なし残業時間分めいっぱい残業させるマネジメントは間違っていますよね?」
→A:「みなし残業の根本を理解できていない会社でしょう」





雇用ニュースの深層


大企業の半数は合法的に過労死ライン超えて残業出来るよう労使で話し合って決めてます

ちょっと手続き上のミスがあった電通叩いても状況はなんも変わらないわけです。で、そんなちょっと詳しい人なら誰でも知ってる常識に「驚きました」って言ってる人が厚労相やってたことに驚いている次第です。



どんなにイヤでも「時間で管理は愚かな考え方」と言い切る企業と同じ土俵に立っている現実は変わらない

日本で残業代にしがみついているのは「成果上げる自信ないし中途半端に昇給しちゃってるから残業代でシコシコ貰った方が楽だ」というしょうもないオッサン連中なわけですが、そうはいってもグローバルで同じアウトプット要求される以上はしわ寄せは長時間残業やら低賃金という形で若い世代に向かうことになります。






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まさかの映画化「全員死刑」

以前に書評を書いた「我が一家全員死刑」がまさかの映画化である。ビックリした。あの怪作を映像化したらどうなるんだろうか想像もできない。おそらく地上波では永遠にオンエアされないだろうから機会があれば見てみるといい。

映画『全員死刑』公式サイト
http://shikei-family.jp/

(↑ urlが直球ど真ん中だ)

それで映画化を記念して加筆した上で文庫化されたそうなので再紹介しておこう。




書評は改めては書かないけれども、死刑囚である次男の頭の悪そうだけどやけに迫真で生々しい手記と著者のノンフィクション部が交互に折り合わされ、怪作と言うべき内容に仕上がっている。

というわけで両親と長男次男の4人が死刑確定なのだが、実は筆者は執行は当面無いんじゃないかとみている。というのも同じ事件での死刑は同日に執行するようなので、つまり、法務大臣は家族4人そろって執行するという判断を下さねばならないことになる。これはさすがに誰もやりたがらないだろうから、両親が病死か何かした後で、というタイミングになるのではないか。

中小企業で管理職やるのと大企業でヒラやるのはどっちがいいの?と思った時に読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。
先日、仕事の際に、某誌の記者にふとタイトルのような質問をされて、筆者はうーんと唸ってしまいました。それくらい、これはとても重要で本質的なテーマだったりします。90年代であれば、筆者は迷わず「大企業でまったり働くこと」を推奨したでしょう。でも、正直言うと今は即答できかねます。

たぶん正解というのはなくて、最後は本人がどういう風に働きたいかという価値観で決まる問題なのでしょう。というわけで、今回はこの問題の論点を分かりやすくまとめておこうと思います。キャリアというものを考える上で良いガイドブックとなるはずです。

どんどん高くなっている終身雇用のコスト

学生と話すと、今でもこんな意見の人が多数派です。

「自分は終身雇用の保証されている大企業で定年まで安定雇用されたい」

もちろんそれはそれで一つの生き方なので構いませんが、一つだけ覚えておいて欲しいのは、世の中にはただ飯はない、ということ。つまり「終身雇用されるコストは自分で負担せねばならない」ということです。

終身雇用のコストの代表的なものは、以下の3つです。

・ある程度は残業しないといけない

いつも言っているように、日本企業では雇用者数ではなく残業時間を通じて雇用調整するので、繁忙期にはいっぱい残業することが要求されます。法律も残業時間に上限をもうけていないのはこのためです。

・会社都合で全国転勤しないといけない

「北海道支店で人足りないから、来月から転勤してね」と言われればどんなに寒いのが苦手でも行かねばなりません。欠員の出た事業所に人を移すことで雇用そのものは守られるわけです。

・なかなか賃上げしてもらえない

たとえ今は業績好調であっても10年後20年後はわかりませんし、東芝や神戸製鋼みたいに誰も知らない爆弾を抱えているなんてこともありえます。だから、本来なら貰うべき水準から2,3割くらいは低く抑えた給料で我慢しないといけません(どれくらい抑えるかはその会社の将来の予測による)。いうなれば会社に失業保険の保険料払っているようなものですね。あ、でも本当の失業保険じゃないから経営危機になったら容赦なく無かったことにされますが。

まとめると、終身雇用の保証される大企業で働くためには、一杯残業して全国転勤にも応じつつ、抑制された給料で我慢しなければいけないということです。横並びに近い給料をもらいつつ、仕事の出来ない人の分もみんなでカンパしあい、手を取り合って定年というゴールまで歩いていく運命共同体のようなイメージですね。

このコストは時代によって大きく変わります。90年代までは、それはかなり安いものでした。なぜなら多くの企業が「日本はこれからもぐんぐん成長していくだろう」と考え、気前よく昇給させてくれたから。だから、筆者もギリギリ90年代なら「ヒラでも大手でいいんじゃないか」と考えたと思います。

でも、バブル崩壊を経て時代は大きく変わりました。もともとの低成長にくわえ人口減社会も到来する中、今後の日本経済は横ばいか下手をするとマイナス成長も予想される状況です。つまり、そうした状況においてもなお終身雇用を維持しようとすれば、そのコストは90年代以前と比べて一気に跳ね上がるということです。正社員の賃金が一向に上がらない理由は、おそらくコレでしょう。

ちなみに現在、正社員と非正規雇用の賃金格差は過去最低水準にまで縮小しています。非正規雇用の人は終身雇用のコストを負担する必要はないですからね。

【参考リンク】なんで非正規の賃金は上がるのに正社員は上がらないの?と思った時に読む話

「何が何でも就活では大企業に入るべき」「大企業に入った以上は土下座させられようがぶっ倒れるまで残業させられようが定年までしがみつくべき」といった価値観が、いま大きく揺らぎ始めているのです。





以降、
大企業でしんどそうにしている人、中小企業で飄々と働く人の違い
これから最重要なスキル







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Q:「明らかに不採算のプロジェクトで手を抜くのはアリ?」
→A:「やる気がない奴と思われることなくさりげなく身を退くには……」



Q:「維新の丸山くんは今後どうするべきですか?」
→A:「もうやってられんわ!と言いたい人に怒鳴られただけなんで気にしなくていいんじゃないですかね」







雇用ニュースの深層

「どうせ出世できないなら残業も転勤もしたくないです」というのは人として普通


ゆとり教育とか関係無しに、ポスト年功序列ではそれが普通なんです。今まで皆でバリバリ働いてたほうがおかしいわけです。



横並び総合職ではエリート人材は囲い込めない

一般職コースの需要があるということは、超エリートコースの整備も必須だということでもあります。





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山井センセイとの思い出

twitterでボソっとつぶやいたらそれなりに反響があったので備忘録がわりにメモしておこう。

いつどこでだったか記憶にはないけれども何かの番組収録かシンポジウムの時にご一緒して、合間に名刺交換とかもするわけですよ。で、「ご著書はだいたいよんでますよ。確かにもうそういう時代なのかもしれませんねー」みたいなことを言われるので、あー意外に勉強されてるんだなと。

で、いざカメラがまわりはじめるとぜんぜんキャラ変わるわけですよ(笑)

まあそれはいいんだけれども。
記憶に残っているのは、たしか派遣で働くシングルマザーみたいな人が現場に呼ばれていて「急に法律が変わって雇い止めになってしまった」とか「長年働いていた派遣先に今回で最後だから」と言われたみたいな話を披露されていて、合間になると山井センセはせっせと足を運んで名刺交換しながらこんなことをしゃーしゃーとおっしゃられるわけですよ。

「さっきのお話、大変ですねえ。我々民主党も日々みなさんと共に戦いますよ

っていやいやいやいや、26業務適正化(26業務の解釈を厳格化する通達を出した結果、微妙なところにいた派遣労働者が10万人規模で雇い止めになった)だの26業務も含め派遣の上限を3年にしたのってあんたたちでしょ、なに他人事ぶってんだよ(笑)

時期覚えてないから民主党のせいでその派遣さんが切られたかどうかまでは分からないけれども、少なくとも規制強化の方向でごり押ししてきたあんたらが言っちゃいかんだろう。

という強い印象を持ったわけです。

結論としては、あの手の政治家は規制強化で失業率が上がるといった基本的な市場の構造はしっかり理解はしていて、理解した上で、平均よりちょっぴりお金も票も持ってる既得権層のために、一生懸命汗をかいてるフリをしてるんだなと。

もしかすると。日本でリベラルと呼ばれる人のほとんどは、その手の種類の人間なのかもしれない。そりゃいつまでたってもシングルマザーは報われませんね(苦笑)

希望の党がコケた原因と今後の展望について

希望の党で玉木新体制が発足し、小池都知事が共同代表の座を降りた。同党にとってはいろいろな意味で節目となるだろうが、いいタイミングなので先の総選挙で同党がコケた原因を考察してみたい。今後の方向性を考える上でも総括は必須だろう。

まず、同党不振の理由としてよく挙げられる小池さんの「排除発言」だが、筆者はそれはあんまり関係ないように思う。というのも、民進党が機能不全に陥ったのは民進党左派グループ(その実態は「冷戦時代の東側カッコイイ!」というだけの冷戦期保守派)の存在が原因であり、それを排除する姿勢はむしろ筆者なんかは好感を持ったほどだから。実際アレに怒っている人にリアルであったこともない。

どうも左派系のメディアは排除発言を必死に不振の原因にしたがっているように見えてならない。自分たちに似た価値観が粗大ゴミ扱いされたのが気に入らないのはわかるが、共産党なんか一言でも執行部批判した瞬間に速攻で除名、追放なんだから価値観合わないグループを排除するのは政党なら普通だろう。町内会じゃないんだから。

以下は単純な筆者の感想だが、希望の党の失速は、やはり政策のハチャメチャぶりが原因ではないか。特に「消費税引き上げ凍結して内部留保課税」というのがまずかった。あの瞬間、周囲やSNSのTL上で一気に冷めた人が多かったように思う。

フォローしておくと、中の人たちもまさか本気でそんなもんが実現できるとは思ってないはずで、むしろ選挙対策としては「よく考えたつもり」だったのではないか。というのも、残念ながら世の中の半分くらいの人は「いかに自分の負担が少ないか」で政策を選ぶ程度の知能しかなくて、実現可能性とか「ただ飯なんて無いんだから中長期では必ず自分に負担が帰ってくる」なんて発想はなかったりする。まあその手の人たちはこの先落ちていく一方なので無視しとけばいいのだが、同じ一票を持っている以上、政治家はそこも取りこぼすわけにはいかない。

だから、近年、選挙で勝ち上がって成立した政権には、目先のことしか考えられない人たちがパクっと食いつきそうな“バカキラー政策”が必ず収まっている。

例:

・霞が関埋蔵金伝説
・日銀にジャブジャブ緩和させれば物価上がって景気も良くなる説

アホらしいんでいちいち解説はしないが、上記に共通するのは「オラはなんも努力せんでもお上がきっとなんとかしてくれる」というお上丸投げの姿勢だ。筆者は、たぶん希望のブレーンも、識者に冷笑されつつも、大衆の共感を呼ぶギリギリの線を狙ってボールを投げたとみている。共産党も似たような政策を掲げているわけだし。

でも、残念ながらそうはならなかった。理由は恐らく、希望の党を支持する可能性のあった層というのは、旧民進党の中道~保守よりの支持層や、都市部の無党派層の中でも比較的若い現役世代であり、ある程度のリテラシーを備えていてバカキラー政策に引っかかるどころか失望してしまったことだろう。特にこの層には財政再建も社会保障見直しも長年放置プレイされる中、一方的に社会保険料だけ消費税の3倍スケールで引き上げられ続けてきたことへの怨念めいた思いがある。
「増税も歳出見直しもなーんもやりませーんよ、みんな、この指とーまれ!」的なことを言われるとイラっと来る人が多い層でもある。

【参考リンク】増える社会保険料が物価低迷の隠れた要因に-賃上げ抑制

そういう意味では、麻生政権時に麻生さんが「俺は郵政民営化に賛成じゃなかった」と言って無党派層にそっぽを向かれて下野した時と構図は同じだ。

そう考えると、代表選で玉木氏が勝ったことで希望の党は首の皮一枚つながったように思う。玉木氏はなんだかんだ言われつつも政策通であることに変わりはないから、旧民進党路線とは決別し、隙だらけのアベノミクスと政策論で勝負するべきだろう。社会保障改革も手つかずだ。

お茶の間で昼間っからテレビ見てる高齢者向けの「仕事してるアピール」にすぎない加計学園問題なんてあれだけ頑張ったのに民進党崩壊したんだから、自分たちを必要としてくれているのは誰なのか、なんで09年に政権交代できたのか、よくよく考えるべきだろう。

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若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来
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