まさかの映画化「全員死刑」

以前に書評を書いた「我が一家全員死刑」がまさかの映画化である。ビックリした。あの怪作を映像化したらどうなるんだろうか想像もできない。おそらく地上波では永遠にオンエアされないだろうから機会があれば見てみるといい。

映画『全員死刑』公式サイト
http://shikei-family.jp/

(↑ urlが直球ど真ん中だ)

それで映画化を記念して加筆した上で文庫化されたそうなので再紹介しておこう。




書評は改めては書かないけれども、死刑囚である次男の頭の悪そうだけどやけに迫真で生々しい手記と著者のノンフィクション部が交互に折り合わされ、怪作と言うべき内容に仕上がっている。

というわけで両親と長男次男の4人が死刑確定なのだが、実は筆者は執行は当面無いんじゃないかとみている。というのも同じ事件での死刑は同日に執行するようなので、つまり、法務大臣は家族4人そろって執行するという判断を下さねばならないことになる。これはさすがに誰もやりたがらないだろうから、両親が病死か何かした後で、というタイミングになるのではないか。

中小企業で管理職やるのと大企業でヒラやるのはどっちがいいの?と思った時に読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。
先日、仕事の際に、某誌の記者にふとタイトルのような質問をされて、筆者はうーんと唸ってしまいました。それくらい、これはとても重要で本質的なテーマだったりします。90年代であれば、筆者は迷わず「大企業でまったり働くこと」を推奨したでしょう。でも、正直言うと今は即答できかねます。

たぶん正解というのはなくて、最後は本人がどういう風に働きたいかという価値観で決まる問題なのでしょう。というわけで、今回はこの問題の論点を分かりやすくまとめておこうと思います。キャリアというものを考える上で良いガイドブックとなるはずです。

どんどん高くなっている終身雇用のコスト

学生と話すと、今でもこんな意見の人が多数派です。

「自分は終身雇用の保証されている大企業で定年まで安定雇用されたい」

もちろんそれはそれで一つの生き方なので構いませんが、一つだけ覚えておいて欲しいのは、世の中にはただ飯はない、ということ。つまり「終身雇用されるコストは自分で負担せねばならない」ということです。

終身雇用のコストの代表的なものは、以下の3つです。

・ある程度は残業しないといけない

いつも言っているように、日本企業では雇用者数ではなく残業時間を通じて雇用調整するので、繁忙期にはいっぱい残業することが要求されます。法律も残業時間に上限をもうけていないのはこのためです。

・会社都合で全国転勤しないといけない

「北海道支店で人足りないから、来月から転勤してね」と言われればどんなに寒いのが苦手でも行かねばなりません。欠員の出た事業所に人を移すことで雇用そのものは守られるわけです。

・なかなか賃上げしてもらえない

たとえ今は業績好調であっても10年後20年後はわかりませんし、東芝や神戸製鋼みたいに誰も知らない爆弾を抱えているなんてこともありえます。だから、本来なら貰うべき水準から2,3割くらいは低く抑えた給料で我慢しないといけません(どれくらい抑えるかはその会社の将来の予測による)。いうなれば会社に失業保険の保険料払っているようなものですね。あ、でも本当の失業保険じゃないから経営危機になったら容赦なく無かったことにされますが。

まとめると、終身雇用の保証される大企業で働くためには、一杯残業して全国転勤にも応じつつ、抑制された給料で我慢しなければいけないということです。横並びに近い給料をもらいつつ、仕事の出来ない人の分もみんなでカンパしあい、手を取り合って定年というゴールまで歩いていく運命共同体のようなイメージですね。

このコストは時代によって大きく変わります。90年代までは、それはかなり安いものでした。なぜなら多くの企業が「日本はこれからもぐんぐん成長していくだろう」と考え、気前よく昇給させてくれたから。だから、筆者もギリギリ90年代なら「ヒラでも大手でいいんじゃないか」と考えたと思います。

でも、バブル崩壊を経て時代は大きく変わりました。もともとの低成長にくわえ人口減社会も到来する中、今後の日本経済は横ばいか下手をするとマイナス成長も予想される状況です。つまり、そうした状況においてもなお終身雇用を維持しようとすれば、そのコストは90年代以前と比べて一気に跳ね上がるということです。正社員の賃金が一向に上がらない理由は、おそらくコレでしょう。

ちなみに現在、正社員と非正規雇用の賃金格差は過去最低水準にまで縮小しています。非正規雇用の人は終身雇用のコストを負担する必要はないですからね。

【参考リンク】なんで非正規の賃金は上がるのに正社員は上がらないの?と思った時に読む話

「何が何でも就活では大企業に入るべき」「大企業に入った以上は土下座させられようがぶっ倒れるまで残業させられようが定年までしがみつくべき」といった価値観が、いま大きく揺らぎ始めているのです。





以降、
大企業でしんどそうにしている人、中小企業で飄々と働く人の違い
これから最重要なスキル







※詳細はメルマガにて(夜間飛行)








Q:「明らかに不採算のプロジェクトで手を抜くのはアリ?」
→A:「やる気がない奴と思われることなくさりげなく身を退くには……」



Q:「維新の丸山くんは今後どうするべきですか?」
→A:「もうやってられんわ!と言いたい人に怒鳴られただけなんで気にしなくていいんじゃないですかね」







雇用ニュースの深層

「どうせ出世できないなら残業も転勤もしたくないです」というのは人として普通


ゆとり教育とか関係無しに、ポスト年功序列ではそれが普通なんです。今まで皆でバリバリ働いてたほうがおかしいわけです。



横並び総合職ではエリート人材は囲い込めない

一般職コースの需要があるということは、超エリートコースの整備も必須だということでもあります。





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・夜間飛行(金曜配信予定)










山井センセイとの思い出

twitterでボソっとつぶやいたらそれなりに反響があったので備忘録がわりにメモしておこう。

いつどこでだったか記憶にはないけれども何かの番組収録かシンポジウムの時にご一緒して、合間に名刺交換とかもするわけですよ。で、「ご著書はだいたいよんでますよ。確かにもうそういう時代なのかもしれませんねー」みたいなことを言われるので、あー意外に勉強されてるんだなと。

で、いざカメラがまわりはじめるとぜんぜんキャラ変わるわけですよ(笑)

まあそれはいいんだけれども。
記憶に残っているのは、たしか派遣で働くシングルマザーみたいな人が現場に呼ばれていて「急に法律が変わって雇い止めになってしまった」とか「長年働いていた派遣先に今回で最後だから」と言われたみたいな話を披露されていて、合間になると山井センセはせっせと足を運んで名刺交換しながらこんなことをしゃーしゃーとおっしゃられるわけですよ。

「さっきのお話、大変ですねえ。我々民主党も日々みなさんと共に戦いますよ

っていやいやいやいや、26業務適正化(26業務の解釈を厳格化する通達を出した結果、微妙なところにいた派遣労働者が10万人規模で雇い止めになった)だの26業務も含め派遣の上限を3年にしたのってあんたたちでしょ、なに他人事ぶってんだよ(笑)

時期覚えてないから民主党のせいでその派遣さんが切られたかどうかまでは分からないけれども、少なくとも規制強化の方向でごり押ししてきたあんたらが言っちゃいかんだろう。

という強い印象を持ったわけです。

結論としては、あの手の政治家は規制強化で失業率が上がるといった基本的な市場の構造はしっかり理解はしていて、理解した上で、平均よりちょっぴりお金も票も持ってる既得権層のために、一生懸命汗をかいてるフリをしてるんだなと。

もしかすると。日本でリベラルと呼ばれる人のほとんどは、その手の種類の人間なのかもしれない。そりゃいつまでたってもシングルマザーは報われませんね(苦笑)

希望の党がコケた原因と今後の展望について

希望の党で玉木新体制が発足し、小池都知事が共同代表の座を降りた。同党にとってはいろいろな意味で節目となるだろうが、いいタイミングなので先の総選挙で同党がコケた原因を考察してみたい。今後の方向性を考える上でも総括は必須だろう。

まず、同党不振の理由としてよく挙げられる小池さんの「排除発言」だが、筆者はそれはあんまり関係ないように思う。というのも、民進党が機能不全に陥ったのは民進党左派グループ(その実態は「冷戦時代の東側カッコイイ!」というだけの冷戦期保守派)の存在が原因であり、それを排除する姿勢はむしろ筆者なんかは好感を持ったほどだから。実際アレに怒っている人にリアルであったこともない。

どうも左派系のメディアは排除発言を必死に不振の原因にしたがっているように見えてならない。自分たちに似た価値観が粗大ゴミ扱いされたのが気に入らないのはわかるが、共産党なんか一言でも執行部批判した瞬間に速攻で除名、追放なんだから価値観合わないグループを排除するのは政党なら普通だろう。町内会じゃないんだから。

以下は単純な筆者の感想だが、希望の党の失速は、やはり政策のハチャメチャぶりが原因ではないか。特に「消費税引き上げ凍結して内部留保課税」というのがまずかった。あの瞬間、周囲やSNSのTL上で一気に冷めた人が多かったように思う。

フォローしておくと、中の人たちもまさか本気でそんなもんが実現できるとは思ってないはずで、むしろ選挙対策としては「よく考えたつもり」だったのではないか。というのも、残念ながら世の中の半分くらいの人は「いかに自分の負担が少ないか」で政策を選ぶ程度の知能しかなくて、実現可能性とか「ただ飯なんて無いんだから中長期では必ず自分に負担が帰ってくる」なんて発想はなかったりする。まあその手の人たちはこの先落ちていく一方なので無視しとけばいいのだが、同じ一票を持っている以上、政治家はそこも取りこぼすわけにはいかない。

だから、近年、選挙で勝ち上がって成立した政権には、目先のことしか考えられない人たちがパクっと食いつきそうな“バカキラー政策”が必ず収まっている。

例:

・霞が関埋蔵金伝説
・日銀にジャブジャブ緩和させれば物価上がって景気も良くなる説

アホらしいんでいちいち解説はしないが、上記に共通するのは「オラはなんも努力せんでもお上がきっとなんとかしてくれる」というお上丸投げの姿勢だ。筆者は、たぶん希望のブレーンも、識者に冷笑されつつも、大衆の共感を呼ぶギリギリの線を狙ってボールを投げたとみている。共産党も似たような政策を掲げているわけだし。

でも、残念ながらそうはならなかった。理由は恐らく、希望の党を支持する可能性のあった層というのは、旧民進党の中道~保守よりの支持層や、都市部の無党派層の中でも比較的若い現役世代であり、ある程度のリテラシーを備えていてバカキラー政策に引っかかるどころか失望してしまったことだろう。特にこの層には財政再建も社会保障見直しも長年放置プレイされる中、一方的に社会保険料だけ消費税の3倍スケールで引き上げられ続けてきたことへの怨念めいた思いがある。
「増税も歳出見直しもなーんもやりませーんよ、みんな、この指とーまれ!」的なことを言われるとイラっと来る人が多い層でもある。

【参考リンク】増える社会保険料が物価低迷の隠れた要因に-賃上げ抑制

そういう意味では、麻生政権時に麻生さんが「俺は郵政民営化に賛成じゃなかった」と言って無党派層にそっぽを向かれて下野した時と構図は同じだ。

そう考えると、代表選で玉木氏が勝ったことで希望の党は首の皮一枚つながったように思う。玉木氏はなんだかんだ言われつつも政策通であることに変わりはないから、旧民進党路線とは決別し、隙だらけのアベノミクスと政策論で勝負するべきだろう。社会保障改革も手つかずだ。

お茶の間で昼間っからテレビ見てる高齢者向けの「仕事してるアピール」にすぎない加計学園問題なんてあれだけ頑張ったのに民進党崩壊したんだから、自分たちを必要としてくれているのは誰なのか、なんで09年に政権交代できたのか、よくよく考えるべきだろう。

メガバンクのリストラで何がどう変わるの?と思った時に読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。
先月より、メガバンクがAIの導入により既存業務における人員配置を大幅に見直し、業界全体で3万人以上の人員削減を行うというニュースが話題となっています。みずほ銀行の削減予定人数は1.9万人でグループ全体の1/3ですから、業界激震といってもいいでしょう。“仕事消滅”の幕は銀行から切って落とされたわけですね。

【参考リンク】3銀行大リストラ時代 3.2万人分業務削減へ

銀行は90年代まではその高い報酬と安定した経営状況により、主に文系の就職先として高い人気を誇りました。今の40歳以上の銀行員の中にはその黄金の時代に入行し、今回のニュースで戦々恐々としている人たちも少なくないでしょう。

はたして銀行では、2000年前後に大手メーカーが生産拠点に対して行ったような血のにじむようなリストラ地獄が再現されるんでしょうか?また、今後銀行における個人のキャリアデザインはいかにあるべきなんでしょうか。いい機会なのでまとめておきましょう。

痛みはないが退屈なリストラ

結論から言うと、対象事業部門の従業員を選別して辞めさせたい人に辞めるまで何度も面談して追い込む等、いわゆる世間一般でイメージされているようなリストラはまずやらないでしょう。理由は2つあります。

まず、今回のメガの置き換えの主要な動機の一つが人手不足であることです。筆者の感覚で言うと、従来と同じ人材の質を維持しつつ同じだけの採用数を確保しようとすると、現在は90年代の2倍以上のコストがかかります。それくらい特に若手は人手不足なんです。なので、恐らくメガの置き換えの大部分は定年退職後に新規採用で補充しない形でゆっくり静かに10年くらいかけて進んでいくはずです。

そして2つ目の理由は、彼らが社会的信用を非常に重視するためです。銀行の人事というのは昔からよく言えばお公家さん的な、悪く言えば前例踏襲主義的な傾向が強いものです。なので、メーカーやIT系なら珍しくない「窓の無い倉庫に缶詰めにしてファイル整理」とか「すぐ生えてくる空き地の草むしり」みたいな泥臭いことはまずやらないでしょう。筆者は早期退職募集すらやらないんじゃないかと見ています。

ただし、行内の風景は一変することになるでしょう。年功序列制度は、毎年コンスタントに若い新人が入ってくることで維持されます。新規採用を削減するということは、年功序列を放棄するということですから、年功序列を維持するために従来頻繁に行われてきた(大きくなりがちだった中高年のボリュームゾーンからの)取引先への出向転籍も今後は段階的に縮小廃止されていくでしょう。

一部の会社で見られる“名ばかり管理職”みたいな部下のいないポストも、今後は減っていくでしょう。年功序列を放棄する以上、形を取り繕ってやる必要もないからです。

この手の組織改革においては本当に偉い人は保護されるので、50代で中間管理職ポジションの人、あるいはこれからいよいよ出世して滅私奉公した分を取り戻すぞ的な40代がもっともしわ寄せを食らうでしょう。

というわけで、取引先回りや支店の窓口業務等、従来は若手が目立っていた職場にも、これからは普通に50歳くらいのオジサンが第一線で働く風景が普通となるはずです。終身雇用のレール自体は途切れてはいないけれども、頑張って東海道新幹線に乗ったつもりが、気が付けば南武線でずっと往ったり来たりしているような感覚と言えばわかりやすいでしょうか。




以降、
これから銀行業界で流行るモノ
希望の無い組織でいかに希望を見つけ出すか







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Q:「独立した後の顧客開拓はどうすべき?」
→A:「在職中にある程度握っておくべきです」



Q:「結婚するなら退職は当然?」
→A:「今はだいぶ変わってきてるんですが、職種によっては難しい面も……」







雇用ニュースの深層

輸出大手は最低賃金なんて興味ない

「時給1000円も払えないような企業は潰して成長産業で働かせろ」というのが輸出大手や官僚のホンネです。



非正規雇用の人は5年ごとに辞めるか半年間休まないといけないという誰得ルール

現実を見ない法改正の当然の結果です。


8割は課長にすらなれません

団塊ジュニアはむしろ氷河期で採用数が少ないからなんとかなるんじゃないか、という人も結構いたんですが何とかならなかったですね。





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「10年後失業」に備えるためにいま読んでおきたい話


若者を殺すのは誰か?


7割は課長にさえなれません


世代間格差ってなんだ


たった1%の賃下げが99%を幸せにする


3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代


若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来
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城繁幸
コンサルタント及び執筆。 仕事紹介と日々の雑感。 個別の連絡は以下まで。
castleoffortune@gmail.com
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