なんで“天下り”ってなくならないの?と思った時に読む話

今週のメルマガの前半部の紹介です。文科省の官僚が早稲田の教授に天下っていたことが発覚し、トップである次官が辞任に追い込まれました。与野党とも徹底追及する構えを見せているため、これから組織ぐるみの天下り実態が明らかになるでしょう。

といっても、筆者は別に文科省をどうこう言う気にはなれません。というのも、他の省庁でも天下りは普通に行われているからです。なぜそう言い切れるかって?実際、筆者の同期とか知り合いにいっぱいいるから(笑)

では中央省庁すべてひっくるめて徹底追求キャンペーンをすればいいのかというと、そういう気分でもないです。というのも、商社や銀行、メーカーにいたるまで、すべての大企業は子会社や取引先への天下りを大なり小なり必ず行っているからです。

そういう実体を知っていながら「官だけはダメ」と言う気には、とても筆者はなれないですね。子会社の出版社の主要ポストはぜんぶ本体からの天下りで独占しつつ、社説で「天下り禁止の徹底を」とか書いちゃってる新聞社なんて、筆者からすればどの口が言うかって感じですけどね。

そもそも、なぜそういった大組織には“天下り”が発生してしまうんでしょうか。


天下りは終身雇用の副産物


中央省庁や大企業には、ある共通点があります。それは「年功序列に基づいた終身雇用が、今でもそれなりに機能している」という点です。これは報酬制度的に言うと「若いころには安い賃金でコキ使われるけれども、45歳以降にそれなりの管理職ポストに抜擢されることで手厚く報われる」ということです。というわけで、そうした組織は血眼になって中高年のためのポストを探し回ることになります。

90年代後半くらいまでは多くの会社は組織を大きくしてポストを増やす余裕があったので、ポスト探しにそれほど苦労はしませんでしたが、2000年代に入ると逆に組織をスリム化してポストを減らさざるをえなくなる企業が増加します。で、どうしたか。子会社や下請け、自分たちより立場の弱い取引先に対して「今後もウチと取引したいなら、うちの〇〇くんを部長待遇で引き取ってもらえないかね?」みたいな形で転籍させるケースが増えました。まさに天下りですね。長時間労働や過労死と同じく、天下りも終身雇用の副産物ということです。

恐らく、読者の中にはこんな疑問を持つ人もいるでしょう。
「ポストなんて与えずに飼い殺しにすればいいだろう。実際、そうやってヒラのまま飼い殺されてる人はいっぱいいるぞ」
そうです。実際には天下れるのはまだいい方で、ここ10年ほどは飼い殺される人の方が多い業種が増えていますね。特に電機のバブル世代なんて過半数がヒラで飼い殺されてます。

でも、それをやってしまうと、組織としては非常によろしくない影響があります。まず、飼い殺される人間自体がやる気をなくして人材の不良債権化します。さらに、若い人材に対しては「もはや年功にたいして組織は必ずしも報いることができない」という強烈なメッセージを送ることにもなり、優秀な若手から流動化することになります。なので、全員は無理としても、一流大出身でそこそこ優秀だった人材には出来る限り天下りを通じてポスト配分する努力を続けているし、今後も続けていくことでしょう。

そして、それは霞が関も同じことです。いや、むしろ彼ら官僚からすれば、グループ企業もなく組織を成長させてポストを増やすことも出来ない分、天下りくらい自由にさせろよというのが本音でしょう。以下は大蔵省OBの“ミスター円”こと榊原英資氏の貴重なホンネです。


天下り規制も全くナンセンスです。日本の場合、雇用制度は終身雇用、年功序列が基本。民間企業の場合も官庁の場合も、同期が重役・社長に昇進するにつれ、多くの人たちは関連会社や子会社へ出向していきます。

役所の場合も公社・公団などの独立行政法人に40・50代から転職していきます。役所にとってこうした組織は関連会社であり子会社です。天下りというと何か権力を背景に出向するようですが、実態は関連組織への転職です。

日本的雇用システムのもとでは、人事をスムースに運営するためにはこうした転職は民間でも官庁でもごく自然なことなのです。それを官庁だけ根絶するというのは、現実をまったく無視した暴論です。民間企業で関連会社、子会社への出向を禁止したらどうなるのかを考えれば、答えはおのずから明らかでしょう。


「公務員改革の愚」より



というわけで、終身雇用そのものにメスを入れぬまま天下りだけを規制しようとするのは、蛇口を開いたままバケツからこぼれる水を拭いて回るようなものでしょう。やるなとは言わないですけどほとんど意味無くて、2、3年したらより巧妙に、ばれない方向で天下りは復活するはずです。

たぶん東京五輪に向けてこれからいっぱい人もカネも動くので、天下りポストは一気に増えるんじゃないでしょうか。


さて、そういう視点で振り返ってみれば、我々の社会は、一億総中流などという牧歌的なイメージとは違い、そうとういびつなものだというのがよくわかるはず。

会社員が取引先や下請けに「お前の会社に仕事まわしてやるから1億円キックバックしろ」とやっちゃうと逮捕されますが、権力のある役人や立場の強い大企業の人間が「(50歳から65歳まで自身を雇わせた上で給料として)1億円払いたまえ」というのは日本国中で横行しているわけです。大企業は下請けに天下り、その大企業には官僚が天下る。ライブドアみたいな新興企業だと50億の粉飾で即上場廃止、経営陣逮捕ですが、元最高裁判事をはじめ各省庁のOBをいっぱい受け入れておけば東芝のごとく一千億超の粉飾やらかしてもいまだに誰も逮捕されずにすんでます。



以降、
強いものが弱いものにたかる社会
官から天下りを根絶するシンプルな方法



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Q:「全国転勤はそろそろ限界ではないでしょうか?」
→A:「最低でも部長くらいにはしてもらえないなら全国転勤とかただの罰ゲームでしょ」



Q:「エイベックスの社長が労基法にケンカ売った件はどう思います?」
→A:「厚労省がまず自分とこのサビ残無くしてから文句言え、くらいは言っていいんじゃないですかね」








雇用ニュースの深層

「消費が増えないのは天引き増えたのと将来不安だから」

「ボクらは賃上げしてって言ったのに経団連がやらないんだ」って言い訳にされないようにクギさしてきましたね(笑)


女性の活躍には育児支援より成果評価や脱年功序列が有効

育児に関するコストを企業に負担させるだけだとたぶん女性の非正規化はもっと進みます。重要なのは女性が活躍しやすい制度設計でしょう。








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2017年雇用関係で何が起こるの?と思った時に読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。
あけましておめでとうございます。冬休み中になに書こうかなとアレコレ考えていたんですが、新年一回目ということで、今号は2017年に雇用関連でありそうなアレやコレやについてまとめておこうと思います。

というわけで、とりあえずヘッドラインを。

・過労自殺問題、右も左も電通をボッコボコにして一件落着
・大企業を中心に残業抑制が一定程度進むが1年程度で元に戻る
・女性総合職採用の見直しが進む
・同一労働同一賃金が骨抜きにされる
・一方、サービス業全般では同一労働同一賃金や働き方改革がある程度実現する
・いつのまにか“働き方改革”がキャンペーン化している

そして、これは今年中というわけではないですが、今年あたりからチラホラ動き始めて3年から5年以内に実現してそうな件です。

・最低賃金が1500円になる
・新卒一括採用から脱却する企業が増加
・脱時間給→成果評価へ


ヘッドラインだけだとちょっと寂しいので概要も述べておきましょう。

雇用がらみで発生した問題を本気で解決する気が無い人、解決してほしくない人の双方が取れるオプションは、とりあえず“個別企業”を袋叩きにすることです。というわけで電通は今年もフルボッコされるでしょう。

で、誰も本気で長時間残業をどうにかする気はないので長時間残業見直し運動もすぐに風化するはず。でもとりあえずリスクヘッジ狙いで女子総合職採用の見直しは進むでしょう。

同一労働同一賃金については、解雇規制緩和しないで進めても天からお金が降ってこない限り骨抜きになります。とはいえ法案自体が完全な無駄かというとそうでもなくて、サービス業を中心に一定程度実現はするでしょう。

働き方改革ですか?たぶん気が付いたら働き方改善キャンペーンになってると思います。「春の山崎パンまつり」みたいな。キャンペーンなので参加するかどうかは皆さんのご自由です。





以降、
2017年はこう動く
ちょっとだけ先の話も
そして、終身雇用は終焉を迎える





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Q:「逃げ恥ご覧になられましたか?あと夫婦の家事分担はいかにあるべきでしょう?」
→A:「すいません見てないっす。家事分担ですか?我が家は……」



Q:「高校教員の時間外が多すぎて手の打ちようがありません」
→A:「慢性的な長時間残業職場には、無駄を見直すきっかけが必要です」








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非正規雇用の人たちに支払うボーナスって誰が負担するの?と思った時に読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。
現在、政府内で同一労働同一賃金の実現を巡って様々な議論が行われています。「同じ仕事をしていれば雇用形態や年齢に関わらず同じ時給を支払おう」という奴ですね。その過程で、非正規雇用にもボーナスを支払わせるというガイドラインの存在が話題となっています。

「同じ仕事をしているのに正社員だけボーナスが出るのは納得できない」という声は昔から非正規雇用労働者の間に根強く存在していました。そういう観点からすれば、ボーナス支給ガイドラインは格差是正につながりそうにも思えます。

でも、そのコスト増は誰が負担するんでしょうか?そもそも、“同一労働同一賃金”って、政府がガイドライン作って実現させるようなものなんでしょうか?今回は賃金の決まるメカニズムについてまとめてみたいと思います。

非正規雇用のボーナス払わせたら単に毎月の給料が減るだけ

たとえば、年収350万円(ボーナス、手当等無し)の契約社員がいるとします。で、政府がガイドラインに沿ってその人の働いている企業に対し「契約社員にもボーナスを払いたまえ」と言ってきたとします。たぶん人事部門としては基本給を下げて基本給で年250万円、夏冬ボーナスで+100万円という具合に帳じりを合わせるはず。だってその仕事には350万円という市場価格がついているわけで、それ以上にお金出すという発想は(少なくとも民間企業には)ないからです。

同じことは社会保険にも言えます。やはり格差是正の一環と称して、パートや契約社員の厚生年金の加入拡大が進められていますが、それで発生する企業負担分を文字通り負担してあげる心の広い企業は多くはないでしょう。

「農家の家庭の事情があるから大根一本500円にすべし」とやったら、誰も大根なんて買わないでしょう。労働も同じことですね。基本的に市場価格に手を突っ込んで上げ下げしようとする政策は悪手と思ってください。

というと「だったら同一労働同一賃金なんて永遠に実現不可能じゃないの?」と思う人もいるでしょうが、もちろん実現は可能です。ただ、それには「規制を作る」のではなく「既に存在する規制を取り払ってやる」ことが必要です。

筆者は先に「非正規雇用の人たちの賃金も市場価格なんだから勝手に動かせない」と書きました。でも、現在の日本の労働市場にはデカくてゴツい規制がいくつかあります。
たとえば、こんなのがそうです。

・有期雇用は5年以上雇ってはいけない
・派遣社員は3年以上雇ってはいけない


これにより、非正規雇用の人は数年ごとに職を転々とせねばならず、会社も「付加価値の高い重要な仕事は正社員に、そうでない単純な仕事は非正規に」という具合に担当業務をふりわけるしかありません。そしてこれが正規と非正規の賃金格差が生じる最大の理由です。

あと、こんなのもあります。

・正社員の解雇はもちろん、賃下げもよほどのことがない限り認められない

このおかげで、リーマンショックみたいな雇用調整の必要な状況になると非正規雇用側が一方的に雇い止めになり、ちょっと景気が持ち直したらベアやボーナスという形で果実は正社員側に持っていかれるわけです。

「〇〇しなければならない!」という規制はいくら増やしてもイタチごっこが続くでしょうし、経済活動を阻害するだけです。同一労働同一賃金の実現のためにやるべきは上記のような規制の緩和であり、その中で同一労働同一賃金の成立を促すのが正道でしょう。

と書くと「自分たち正社員の仕事が取られたり、賃下げにつながるんじゃないか」と心配する人もいるかもしれません。そりゃ正社員というだけで貰いすぎだった人はそうでしょう。各人が役割、能力に応じて処遇されるのは当然のことですから。

きっと労組や左派は反対するでしょうが、誰かにだけ安い仕事押し付けたり人件費を独占したりするのはそもそも労働運動でも何でもないです。フランス革命とかロシア革命でみぐるみはがれた貴族と言ってる事同じでしょう。 





以降、
ほっといても自然と同一労働同一賃金が実現する方法
非正規雇用労働者は青空を、正社員側は多様性を楽しもう





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年末恒例・蔵出しQ&A
この年内にもらってまだ未回答の質問、意図がよく分からないので放置していた質問を年末にまとめて回答いたします!





Q:「体育会というだけで評価してくれる会社ってありですか?」
→A:「部活がすげえ楽しかったんならアリじゃないっすかね」



Q:「彼女が妊娠してしまいました。何か一言メッセージをお願いします」
→A:「〇〇〇〇〇〇!」



Q:「うちの猫のやる気が無くて困っています」
→A:「猫は従業員ではなく株主だと思ってあげてください」



Q:「城さんて意外にドラマとか見ますか?」
→A:「別に意外じゃないと思いますが見ますよ」



Q:「忘年会がしんどいです……」
→A:「飲むより食べることに集中してください」







ショートショート 「残業上限」







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連合ってなぜ野党共闘に執拗に反対してるの?と思った時に読む話

今週のメルマガの前半部の紹介です。
連合が、自らが支援する民進党に対し、共産党との野党共闘路線に踏み切らないよう繰り返し警告しています。報道に対するリプなんかをみると、連合の頑なさに相当フラストレーション溜め込んでいる人も多いようですね。

連合が衆院選方針の素案 民進・共産の協力を強くけん制


なぜ連合は共産党との共闘を嫌うのでしょうか。彼らは本音では何を考え、そして民進党には何を期待しているのでしょうか。労働市場の先行きを考える上でもよい素材になると思われるので、今回は連合のメカニズムについてまとめてみましょう。


連合のホンネ

連合というのは主に大企業の正社員たちで組織される労働組合の寄合です。様々な業種が含まれますが、やはり組合員数が多く歴史も長い大手製造業の影響力は強いです。経団連の対になる存在だとみていいでしょう。ちなみに現会長の神津さんは新日鐵、先代の古賀さんは松下電器、先々代の高木さんは旭化成労組の出身です。

“労働組合”といっても高年収企業の正社員中心なので、そこらの野良ユニオンなんかとはまったく毛色が違います。筆者がよく言うところの「二階建て労働市場の二階で暮らす人たち」であり、文字通りの終身雇用が保証されるエリートです。

さて、筆者はなんだかんだ言いつつ連合の人と年に数回は仕事しますけど、だいたい以下のような本音を吐露してくれますね。

「消費税はとっとと上げてほしい」

意外と知らない人が多いんですが、国民年金の未納分は、厚生年金にツケがまわされています。他にもいろいろと社会保障関係で入用な分はサラリーマンの各種保険料から天引きされ続けています。最近も介護保険料の計算方法を見直して大企業の正社員の天引きが増えましたね。

【参考リンク】介護保険料の負担増 来年8月実施を検討 大企業社員ら


なぜか?消費税だと民意を問わないといけませんが、保険料だと税じゃないから政府内でちょろっと数字を書き換えるだけで済むからです。まあ実態としてはサラリーマン税なんですけど。で、この20年ほど消費税上げる上げないでグダグダやってる間中、サラリーマンの天引きはスルスル上がり続けているわけです。まさに自営業者ウハウハです。

【参考リンク】サラリーマンが目先のベアより社会保障の抜本改革を要求すべき理由

あ、ちなみに↑は2年前の記事なんで、現在はもっと天引き増えてますね。消費税引き上げは延期したのに(苦笑)

この事実に対し、連合の中の人たちは腸煮えくり返ってます。もちろん毎年一兆円増加し続ける社会保障の見直しするのがベストなんですが、それはあまりにもハードルが高いです。

「だったらせめて高齢者やニートやフリーターからもとれる消費税にしろよ。なんでボクらの保険料だけ一言の相談も無しにあがるんだよ。保険料っていうのは払った分見返りが増えるべきであって、取りやすいから取るってそれ税金だろ。だいたい消費税だったら工夫次第で節約も出来るけど天引きって工夫の余地ゼロじゃん」

と、まあだいたいこんな具合ですね。


「内部留保とか輸出戻し税にメスを入れろ?バカじゃないの(爆笑)」

階級闘争(笑)の大好きな左翼の皆さんの中には「大企業の内部留保を使えば賃上げも非正規の正社員化も可能だ」という意見が根強く存在します。あと、「大手の輸出企業は消費税から輸出戻し税として何百億円もこっそり還付されている」なんて言ってる人もいます(バカすぎてリンク張るの面倒なんで興味ある人は『内部留保課税』とか『輸出戻し税』でググってください、陰謀脳の方のゴミみたいなブログ記事がいっぱいヒットしますんで)。

まあ今更言うまでもないことですが、内部留保は現金じゃないし、そもそも株主のものだから手突っ込んじゃいけないし、(海外の客から消費税取れない)輸出企業が仕入れ段階で支払った消費税分を還付されるのは当然なんですけど、世の中には本気にしちゃってる痛い人が結構います。で、当然ながら連合の中の人はバカにしまくっています。

「内部留保といってもだいたい設備投資だしキャッシュがあってもそれは不況時にボクたちの雇用を守るための備えなんだから非正規に分配できるわけないだろ。消費税は大企業優遇?バカじゃないの(笑)」



「賃上げ賃上げって外野がちょっかい出すんじゃないよ」

安倍政権は政権成立以来、うるさいほど春闘での賃上げを強力にプッシュしつづけています。その姿は昔の社会党以上です。でも、連合からすれば、はっきりいって余計なお世話です。

賃金というのは上げれば済む話ではなく、組合員の雇用を守りつつ、その水準をこの先10年20年維持できるかどうか、労使で知恵を絞って水準を決めているわけです。会社の売上動向はどうか、日本経済の先行きはどうか、そして人口はどうなっていくか。

国がやるべきは規制緩和や構造改革でそうした日本経済の先行きとか人口を上向かせて企業の先行きを明るくすることであって、「あのさあ、なんか日銀にいろいろやらせてもぜんぜんデフレ脱却できないから、とりあえず賃上げしてくんない?」って絡んでくるのは本末転倒なわけですよ。なので、やはり連合の中の人は安倍ちゃんにかなり怒ってます。

「賃上げ賃上げって知りもしないで余計なこと言うんじゃないよ。ボクらが仕事してないみたいに見えるじゃん。ていうか構造改革まったくやってないのは政府の方だろ!下手に賃上げしすぎたら後でリストラされるのはボクたちなんだよ!なんでボクらが政府の尻拭いのためにリスクとらないといけないんだよ!」



「格差是正とか同一労働同一賃金はほどほどにしといてよ」


最近になってようやく過労死のような正社員内の問題もフォーカスされるようになりましたが、今まで雇用問題というと「正規と非正規雇用の格差」が中心でした。これに対する連合のスタンスはとてもシンプルなもので、一言でいえば「非正規雇用を正社員化させろ」です。

世界で最も解雇の難しい日本の正社員が安定していられるのは、比較的解雇の容易な派遣社員などの非正規雇用労働者がたまよけになってくれるからです。実際、リーマンショック時のような時に、非正規雇用をばっさばっさ雇い止めにすることで、彼ら大手の正社員は雇用が守られたわけです。逆に言えば、労組的には非正規雇用がなくなっちゃうと非常に困るわけです。自分たちが直接被弾するわけですから。

同一労働同一賃金もそうですね。総額でどれだけ人件費が用意できるかは事業内容で決まっているわけで、本気で同一労働同一賃金なんて実現されたら間違いなく貰いすぎの正社員の賃金は下がるわけです。今までのように正規と非正規の間に高い壁作って競争原理が働かない状態にしておく方がメリット大なわけです。

なるほど、確かに全員正社員にしちゃえば格差はなくなるし、同一労働同一賃金も実現するでしょう。なにより、「みんなで正社員」というフレーズはとても分かりやすく美しい響きです。「労働市場を流動化して、職能給から職務給にしたうえで……」とか言ってもわかる人は少ないですけど、全員正社員化なら田舎の爺ちゃん婆ちゃんにも拍手してもらえます。

そして、もっとも「全員正社員化作戦」が魅力的なのは、それが絶対に実現不可能な点です。覚えておいてください。響きが美しく、絶対に実現不可能な政策というのは、既得権を持つ側にとっては実に美味しい政策なんです。彼らの目的は解決ではなく現状維持ですから。

そうそう、旧・民主党は政権時代に派遣規制強化をやって派遣労働者を40万人減らし、失業者とパートを増やしたという輝かしい戦果を挙げています。まさに連合の本音に沿った作戦と言っていいでしょう。

【参考リンク】民主党は派遣を規制して何かいいことあったんだっけ?


「正社員と非正規雇用労働者は連帯して、みんなが正社員になれる理想の社会を目指そうよ。あ、実現できなかったらそれは本人の努力不足か、経営者が悪いだけだからボクらは関係ないからね」




さて、野党の中には、上記のような連合の本音とは相いれない政党が一つありますね。消費税引き上げには「輸出戻し税があるせいで大企業優遇だ」といって一貫して反対、膨張する社会保障のカットにも反対で、大企業の内部留保を使って正規雇用化を主張する政党が。そう、それは共産党です。

狂ってるのか、それとも確信犯的に日本経済をぶっ壊そうとしているのかわかりませんけど、少なくとも共産党の人たちは本気で上記の政策を実行しようと考えています。はっきり言って、連合とは水と油の関係です。

そんな怖い怖い共産党オジサンから「(選挙では)協力しよう!勝ったら俺と一緒に(連立政権に)なってくれ!」という熱いプロポーズをされ「で、でも……」と優柔不断な乙女ばりに迷っている民進党を見て、連合は相当フラストレーションがたまっているというのが実情でしょう。

あ、もう一つ連合の本音を。彼らは別に民進党のセンセイがたなんて落選して無職になろうが野垂れ死にしようがぜーんぜん何とも思ってないですね。自分たちの役に立つなら支援してやるけど、使いもんにならないんだったらいつでもケツ持ち辞めるわ、くらいのスタンスです。




以降、
日本の労使対立はフィクションである
弱者は“和製トランプ”に期待しろ




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Q:「労働組合はどのように運用していくべきでしょうか?」
→A:「わからないことがあれば〇〇に相談すればOKです」




Q:「キュレーションサイトの白黒はどこで線引きすべきですか?」
→A:「筆者は線引きは必要ないと思います。でも組織的にやらかしたのならアウトでしょう」







雇用ニュースの深層


同一労働同一賃金、いいあんばいに骨抜きになる


とはいえ、政府の狙う落としどころははっきり見えてきました。




一昔前の自民党政治家みたいなことを言い出すトランプさん

想像してみてください、総理がトヨタに「海外に工場作るな、国内で作れ」と言ったら何が起こるか。






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なぜ東大って女子に人気ないの?と思った時に読む話

今週のメルマガの前半部の紹介です。先日、こんなニュースが話題となりました。

【参考リンク】東大、女子学生に家賃補助支給へ

東大は女子比率が20%という大変男くさい大学なので、何とかその比率を引き上げるのが狙いだそうです。案の定、「男女差別じゃないか」とか「ほかにやることないのか」とか諸方面から叩かれまくっていますが。

ところで、そもそもどうして東大ブランドは女子に魅力がないんでしょうか?そこを紐解いていくと、個人と組織にとって本当に必要な改革が見えてきます。


総合職カルチャーの頂点に君臨してきた東大


東大に入る最大のメリットとは何か。それは「大企業や中央省庁といった日本型長期安定雇用のレールに乗りやすい」ということです。総合商社とかメガバンク、自動車、鉄鋼、そして電通etc……

そういう誰でも知っている有名な大企業に新卒カードを使って入社しようとするなら、“東大”という学歴は無類の強さを発揮してくれます。

一方、やはり就職先として人気のある外資系の高年収職(コンサル、金融機関等)は基本的にポテンシャル採用はしないので東大だからというだけで下駄を履かしてくれることはまずありません。あと近年はそうした外資は理系修士以上の採用が増えていて、東大といっても文系学部生だと普通に落とされる人が多いです。新興企業はどうかといえば、こちらは特に特定の大学が好きというのはなくて、能力と熱意のある人材に広く門戸を開いています。

というわけで、実際、東大生の多くは大企業や官庁に就職することになります。

【参考リンク】東大の15年度就職状況、上位顔ぶれ変わらず


それから、彼らはどういうキャリアをたどるのか。まず、どんな仕事を担当するか、勤務地はどこかといった決定権はすべて会社に預けます。残業しろと言われれば徹夜でも何でもしなきゃならないし、有給もせいぜい5割消化と言ったところでしょう。要するに裁量は少ないです。

給料も大手だからと言ってそんなに多いわけではないです。初任給段階では、他の中小企業と大して変わりはありません(むしろ中小の方が高かったりすることも)。そこからじりじり勤続年数と共に上がっていって、部長ポストまでいってようやく1000~1500万といったところでしょう。

ただし、リスクは非常に少なく抑えられます。普通に働いていればクビになることはまずないし、仕事できなくても45歳くらいまではジリジリ昇給させてくれます。たまに経営危機になったりする大企業もありますけど大手だと国が税金突っ込んで救済してくれます。

合コンでも会社名だけでモテるしローンも組み放題です。まとめると、裁量を会社に預けるかわりに、全力で守ってもらえる身分の一員として生きることになります。筆者はそういう慣習を“総合職カルチャー”と呼んでいますが、東大というのは、総合職カルチャーの頂点に位置する大学といっていいでしょう。

ただし、総合職カルチャーには大きな問題があります。それは、純然たる男社会だという点です。家庭内で誰かが長時間残業や全国転勤しなきゃならないなら、別の誰かが家庭に入ってサポートする側に回る必要があります。そして、企業はその役割を“専業主婦”という形で女性に押し付けてきたわけです。

たまに「専業主婦は日本の伝統」みたいなこと言ってる痛いオジサンがいますけど、戦後の高度成長期に一般化した割と最近の流行りもんですね。東大の上野千鶴子先生なんかは専業主婦のことを「社畜の専属家政婦」なんてズバリ言い切ってます。

【参考リンク】『上野先生、勝手に死なれちゃ困ります』


つまり、女性からするとこんな感じです。青春犠牲にして受験勉強頑張って晴れて東大に入学しました、就活も頑張って有名大企業に入りました、でも職場はすごい男社会でぶっ倒れるまで残業させられました、結婚するとそれとなく上司に肩を叩かれました、出産時には露骨に肩を叩かれました、何とか復職できましたが出世の芽は完全になくなりました……

結果、日本の日本の男女平等ランキングはどえらいことになってるわけです。

【参考リンク】男女平等ランキング、日本は過去最低111位


言っちゃなんですけど、↑な状況で「月3万出すから、一生懸命勉強して東大おいで!」と言われても焼け石に水なんじゃないですかね(苦笑)

もし筆者に娘がいて、「もう一年頑張って東大行きたい!」って言ったら「どうしても東大じゃなきゃできないことがあるならいいけど、そうじゃなきゃその辺の女子大でいいんじゃね?女子で東大行ってもあんましいいことないから」ってアドバイスすると思いますけどね。




以降、
公立校復権が示す、東大の本当の危機
日本型組織での女性のキャリアデザイン


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Q:「ローテーションで自分のキャリアの方向性が見えなくなってきました……」

→A:「“伸びしろ”という観点でもう一度チェックしてみてください」




Q:「残業代が100%出るようになったんですが基本給が減りました」
→A:「木の実を朝4つもらえるかわりに夜の分が3つになったわけです」








雇用ニュースの深層

ロイヤルホスト、24時間営業廃止へ 


5年くらい前から「壮絶な人手不足時代が来る!」と言ってサービス業ではあの手この手で働き手の囲い込みをやってきたわけですが、多分抜本的なビジネスモデルの見直しにも手を付けねばならんだろうと予想されておりました。いよいよその第一弾というわけです。

この動きにはさらに先があると筆者は予想しています。



電通、鬼十則を削除へ

ていうか今まで削除してなかったのが驚きです。自分のPRはイマイチですね。






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「10年後失業」に備えるためにいま読んでおきたい話


それゆけ!連合ユニオンズ[上]


若者を殺すのは誰か?


7割は課長にさえなれません


世代間格差ってなんだ


たった1%の賃下げが99%を幸せにする


3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代


若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来
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城繁幸
コンサルタント及び執筆。 仕事紹介と日々の雑感。 個別の連絡は以下まで。
castleoffortune@gmail.com
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