どうして日本人の賃金だけ下がり続けてるの?と思ったときに読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。
先日、「実はここ30年間で日本人の賃金だけが下がり続けている」という衝撃の事実が複数のメディアで報じられ大きな波紋を呼んでいます。ワイドショーでも取り上げられたので驚いた人は多いんではないでしょうか。

【参考リンク】日経新聞「米国では年収1400万円は低所得」が大炎上

【参考リンク】OECD加盟国で日本の実質賃金が「一人負け」状態に…玉川徹氏「先進国じゃない」



筆者自身は知ってはいましたけどこうやってあらためて諸外国とグラフで比較されると「あれ内戦でもやってたっけ?」と思うくらい見事な下がりっぷりですね(汗)

これをうけてネットでは早速「全部デフレが悪い」だの「安倍政権と財界の陰謀だ」だのといったトンチンカンな議論がわいているようです。

なぜ日本人の賃金だけが一人負け状態なのか。そして、その中で生き残るにはどうすべきなのか。キャリアデザインする上でも非常に重要なテーマなのでまとめておきましょう。



下がるべくして下がった日本人の賃金


日本人の賃金が下がり続けている理由はいろいろありますが大きく分けて以下の3点です。


1.バブル崩壊後に未来をリストラしたから

日本では解雇はもちろん、一度上げてしまった賃金の引き下げにも高いハードルが科されます。最近でこそ力業でやっちゃう企業も出てきていますが、90年代はタブーでしたね。そこで不況時にはとりあえず20~30代の昇給を抑制したわけです。

すると10年くらいたって高給取りの50代が定年退職するとあら不思議、全体の賃金カーブが下がって労働分配率も低下することになります。筆者自身、90年代にこの「未来をリストラする作業」に携わっていたのでよく覚えていますね。

「こりゃあ21世紀は質素倹約が流行って高額なものが売れない時代になるだろう」ということはなんとなく予想していました。


2.定年が伸びたから

80年代までは55歳だった定年が、90年代には60歳に、そして21世紀になってからは実質的に65歳に延ばされています。すべて「あのさあ、年金財政が厳しいから企業で面倒みといてよ」という政府の強い意向で一方的に押し付けられた格好です。

で、当たり前の話ですが長く雇わせるほどに賃金は下がります。その間のリスクを織り込まないといけないからですね。意外と知らない人が多いんですが解雇しやすいほど賃金は上がるんです。

たとえば、あなたが経営者だとして、まったく同じ能力、スキルのA氏とB氏を採用するとします。A氏は毎年年俸交渉して場合によっては解雇も可、でもB氏は原則20年間雇い続けるとすると、それぞれにいくら払うでしょうか。

筆者の感覚だとA氏に1千万円だとするとB氏はせいぜい600万円くらいでしょうね。こんな感じで、定年が伸びていくたびに見えないけれども強烈な賃金抑制圧力が日本人全体の賃金にかかってきたわけです。

あ、そういえば安倍ちゃんがつい先日「70歳(古希!)まで会社に雇わせます」宣言してたので、もう一段の引き下げはあるでしょうね。

【参考リンク】70歳までの就業確保、企業の努力義務に 厚労省決定


3.社会保険料が上がり続けたから


平成元年は17%ほどだった社会保険料ですが、現在は30%近くにまで達しています。この流れに変化は見られず、もはや30%突破は時間の問題とされていますね。

【参考リンク】迫る会社員保険料30% 健保連「22年危機」と改革訴え


と書くと「でも実際は労使折半なんだから半分は会社が負担してくれてるんでしょ?」と思う人もいるでしょう。実際には会社から見れば社会保険料もすべて含めて“人件費”なので、社会保険料の高騰は賃金を圧迫するわけです。

【参考リンク】サラリーマンが目先のベアより社会保障の抜本改革を要求すべき理由

それにしても、サラリーマンってホントに心の広い人たちだなっていつも感心してますね。消費税はなかなか上げさせない一方で社会保険料のハイペースの引き上げはスルーしてるわけで。

まるで「お年寄りや自営業者、ニートに負担させるわけにはいかない。俺たちのランチなんてワンコインで十分、日本の社会保障は俺たちが支えるぜ」って言っているように筆者には見えますね。実際に言ってる人に会ったことはないですが。

あと消費税の話をすると高確率でわいてくる「消費税は逆進性があるし景気に悪影響だからダメだ」みたいなことをいう人も不思議ですね。それって「サラリーマンは人間以外の何か」って言ってるようなもんなんですが、そういう人たちの頭の中はどうなってるんでしょうかね。

というわけで、まとめると終身雇用縛りというルールの中で一方的に定年伸ばしたり社会保障給付のツケを保険料という形で押し付けてきた結果、日本人の賃金は一人負け状態になったわけです。

なので処方箋としては解雇規制緩和して定年制度そのものを廃止、消費税は思い切って20%くらいに引き上げたうえで社会保険料を2000年くらいの水準に戻すということになります。増税幅を抑えたいなら高齢者の窓口負担引き上げなんかもアリでしょう。

今回の一件に関してはとくにリベラルから「安倍政権の失政が原因だ」みたいな批判が上がってますが、完全にアホですね。じゃああんたら上記の処方箋やる気あんのかと。全然無いでしょ(笑)

むしろ共産党とか立憲民主党とか、上記の処方箋の逆方向にアクセル吹かすだろうから政権交代しちゃったらもっと賃金下がるでしょうね。

期末試験で30点だった安倍ちゃんを、赤点とって留年確定した人たちが批判しているようなものなんでスルーしといてOKです。





以降、
今後想定される2つのシナリオ
発想の転換でバラ色のデフレ社会を生きる






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Q:「大阪はダメでしょうか?」
→A:「維新次第じゃないですかね」



Q:「この出向は前向きに受け止めるべきでしょうか?」
→A:「とりあえず受け入れる側は前向きです」






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2020年のトレンドを読む

今週のメルマガ前半部の紹介です。
2020年一発目のメルマガです。というわけで本年から2020年代がどのような時代になるのかについて、雇用を切り口に予測してみたいと思います。

戦後の日本社会というのは、良くも悪くも終身雇用という形でセーフティネットを企業に丸投げしてきた側面があります。ということは、そのトレンドの変化は雇用のみならず社会全体に大きな影響を与えることを意味します。

これは入口段階で“終身雇用”の柵の中に入れてもらえない人が続出した氷河期世代がその後にどうなったかを見ても明らかですね。

ちなみに筆者は2006年頃から「終身雇用だと入り口でコケたらなかなかリカバリーできず、40代以降に深刻な格差が生じるはず」と主張し続けてきましたが、それは不幸な形で平成の最後に実現してしまった感がありますね。

【参考リンク】氷河期世代支援、国家公務員採用など明記 政府行動計画

果たして2020年代、令和の新時代はどのような風景が待っているのでしょうか。


中高年の流動化

筆者の知る範囲でも、昨年後半より多くの大企業で早期退職の募集が水面下で検討されています。人口減社会が到来し長期的に国内マーケットの縮小は確実なのに、一方的に「社会保障の財源ないからとりあえず企業には70歳まで面倒みさせるようにするわ」なんて言われたらもう動くしかないですね。

業種は内需外需関係なしに幅広い業種で実施されるはず。とりわけ同じ業種の有名企業や業界大手が昨年中に早期退職や配置転換を実施している場合は株主等から強い圧がかかるため、後追いで追随するパターンが増えると思います。

とはいえ、2000年代初頭のリストラのような悲壮感はほとんど感じられません。理由は、現在は人手不足によりほぼ完全雇用状態に近く(贅沢さえ言わないなら)転職先が誰にでもあること、現在の企業業績そのものは上々なので手厚い割増退職金、再就職支援等が受けられるためです。

実際に募集企業の人事担当からは「10年前にも募集したがあの時とは全然違ってすぐに予定人数が集まった」という話も耳にします。「どうせ70歳まで働かされるんなら自分のやりたいことやろうぜ」という姿勢は筆者もとても合理的だと考えますね。

というわけで、これからしばらくは主に大企業の40代以降正社員の流動化が続くことでしょう。おそらくメディアでは、40代以降に第二の“就活”を経てバリバリ働く“社会人再デビュー中高年”と、割り切って今の会社で淡々と糊口をしのぐ“割り切り中高年”がそれぞれクローズアップされることでしょう。

→ メディアに取り上げられそうなトレンド 【再デビュー中高年】【割り切り中高年】






以降、
新卒作用の二極化
〇〇〇〇〇コースの普及
〇〇の〇〇〇の模索






※詳細はメルマガにて(夜間飛行)






Q:「50歳手前の官僚ですが今からの転職で注意すべきこととは?」
→A:「棚卸しをしつつ、腹をくくって最後のご奉公をすることです」



Q:「日本人の賃金をげるために何が必要でしょうか?」
→A:「解雇規制緩和や社会保険料引き下げでしょう」







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大戸屋ってブラック企業なの?と思った時に読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。
テレビ東京「ガイアの夜明け」で、大手外食チェーン大戸屋の“働き方改革特集”が放送されたところ、予想外のスパルタンな内容が波紋を呼びちょっとした炎上状態となりました。

【参考リンク】大戸屋、『ガイア』密着で“壮絶なブラック企業ぶり”を全国に晒す

大戸屋の働き方改革特集はなぜ炎上したんでしょうか。また日本中の企業が取り組んでいる働き方改革ってどういうものなんでしょうか。良い機会なのでまとめておきましょう。


生産性を高めるのは誰の仕事か


そもそも「生産性を高める」というのは誰の仕事なんでしょうか。普通に考えれば「それを決める裁量を持っているポジションの人」ということになります。

大戸屋に関してはいろいろな識者が課題や処方箋を提示しています。より魅力ある商品を開発する、商品価格帯を見直すetc……

【参考リンク】俺たちの「大戸屋」が変わってしまった理由


では魅力ある新商品を開発したり、調理プロセスを見直して回転を上げたり価格を見直す裁量を持っているのは誰でしょうか?少なくとも店長や副店長ではありませんね。経営トップか、それに直属する本社スタッフの仕事なわけです。

そういう立場の人たちが(自分たちのことは棚に上げて)現場の従業員に「ほら!もっと根性見せろ!目が死んでるぞ!」とかやっちゃうのは、どう考えても無理筋なわけです。

組織マネジメントとか興味ない人でも「いや君ら他にもっとやることあるだろう」と違和感は抱いたはず。

ついでに言うと、筆者は外食や小売りといったサービス業では、店長ポストであっても自身の裁量は限定的であり、裁量労働等は馴染まないと考えています。少なくとも開店時間も閉店時間もロックされている中で柔軟に働くなんて無理ですから。そういうのがワークするのは本社のデスクで働くホワイトカラーかエリアマネージャー、スーパーバイザークラスからでしょう。

では、なぜ今回の大戸屋特集は大きな反響を呼んでしまったんでしょうか。筆者は2点あると考えています。

1.みんな大戸屋への期待が高かったから

大戸屋というとなんとなく手作りで野菜豊富で人と体に優しいイメージがあります。それが裏では「おりゃー目が死んどるゾ!」みたいなスパルタ研修やってたわけで、ギャップに驚いた視聴者は多いはず。

ぶっちゃけこれがワタミだったら炎上どころか煙も出なかったと思います(最近ワタミはだいぶ環境改善したらしいですが)。

2.みんな共感するような土壌があったから

フォローしておくと、筆者は大戸屋は全然悪い会社じゃないと思っています。というかそこら中の日本企業で、大戸屋みたいな『現場丸投げ式の働き方改革』がリアルタイムで行われています。

というと「デスクワーク中心のホワイトカラー職は裁量労働で働き、自身の生産性向上に率先して取り組むのが自然では?」という疑問を持つがっついたビジネスパーソンも多いはず。

でもちょっと考えてみてください。日本のサラリーマンに裁量なんてありましたっけ?ロクに無いから毎年懲りずに有給休暇を半分以上捨ててるわけでしょ?

裁量がないから「フレックス勤務なのに定時出社」とか「裁量労働なのに退社する前に根回し必要」とかギャグみたいなこと続けて、何十年たっても満員電車が改善しないんでしょ?裁量があったら「午前中は家で仕事して午後から出社します」とか「朝6時出社してランチ食べたら退社しますね」とか普通にできるわけで。

そうなんですよ。日本型雇用ってバリバリのホワイトカラー職であっても裁量がほとんどないという特徴があるんです。だから本当に実のある働き方改革を実施しようと思ったら、その裁量をどうやって与えるかという部分が一丁目一番地になるわけです。

にもかかわらず、そこはスルーした上で「働き方改革だから19時には退社しろ。もちろん仕事量は減らすなよ」とトップダウンで指示だけ降りてきて、時間外手当だけが減って現場が目を白黒させている企業はぶっちゃけ多いです。

筆者から見れば上記の大戸屋とまったく同じことをやっているわけです。だから、現場に共感する土壌が視聴者の間に広く存在したんでしょう。





以降、
ムラ社会内部を公開するリスク
大戸屋がコケたのは誰も素人の“手作り”なんか求めてないから







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年末Q&A蔵出し特番
「子会社の課長ポストって栄転なんでしょうか?」
「youtuberのどこがおもしろいんでしょうか?」
「忘年会って必要でしょうか?」

他。





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一緒に会社と戦いませんかと誘われた時に読む話

今週のメルマガ前半部の紹介です。
“マタハラ”の呼称を世に広める契機ともなったケースが高裁で完全にひっくり返され、人事界隈を超えて大きな波紋を呼んでいます。

【参考リンク】マタハラ裁判で勝訴した原告女性の主張はなぜ、高裁で否定されたのか


正社員の地位を認めるどころか契約社員雇止めも有効、くわえて会社に損害を与えたことに対する賠償までオマケでついてきたわけで、和解せずに追い打ちをかけようとしたら盛大に返り討ちにあった感じです。

とはいえ詳細を読めばこりゃしょうがないなといった印象ですね。従業員20人の零細企業に対しサポート体制が十分でないのを理由に社外ユニオンとつるんで和解拒否して和解金つり上げ、メディアを通じた一方的な主張展開や業務中の録音行為etc……

これで「そもそも本人に正社員として復職する気が最初から無かったっぽい」という衝撃の新証拠が出たらそりゃひっくり返りますね。

とはいえ、本ケースにはビジネスパーソンがキャリアを形成する上で貴重な教訓がいくつか散見されます。いい機会なので考察しておきましょう。


個人が会社とケンカしてもほぼデメリットしかない


まず結論から言えば、従業員個人が組織とケンカするメリットはゼロです。理由はいろいろありますが主に以下の2つです。

・どのみち離職することになるから

意外と知らない人が多いですが、解雇の無効を争った裁判で労働者が勝った場合でも、実際に職場復帰するケースは稀です。就労していた場合に受け取っていたはずの賃金を受け取るだけのケースが大半で、多くは途中で和解して和解金をもらうことを選択します。

そりゃそうでしょう。組織の大小にかかわらずケンカした後も仲良く手を取り合ってお仕事お仕事~なんてムリでしょう。針の筵に座り続けるようなものです。

ちなみに大手なら復職しても(査定や異動で)徹底的に干されることになるはずです。以前に某社で定年までの数十年間を倉庫に隔離していたなんて話もありましたね。

どうせ離職する以上、場合によっては1年以上に及ぶ裁判を、それだけの時間とお金をかけつつ(そしてキャリアに穴を空けつつ)個人が行うメリットなんて筆者はないと考えます。


・ブラックリストにのりかねないから

そしてもう一点留意すべきは、会社とモメたという事実はそれだけで再就職の際に非常にネガティブな印象を持たれかねないということです。

世の中には「タチの悪い弁護士やユニオンと最初からグルで、転職のたびに会社の“あらさがし”して金を引っ張ろうとするブラック労働者」なる人たちが存在します。採用担当にとって、そうしたブラック労働者を採用段階で排除することは重要なミッションの一つです。会社とケンカするということはブラック労働者とみなされかねないリスクがあるわけです。

なんて書くと「労働者が正当な権利を主張して会社と争うことは悪いことじゃない!泣き寝入りしろというのか!」と青筋立てて怒る人もいるかと思います。

でも第三者からすると会社と従業員のどっちが正しいかなんてぶっちゃけわからないんですよ。「上司からものすごいパワハラされて同僚からもシカトされています!助けてください!」なんて相談があり調べてみると「むしろ同僚に当たり散らしていたのは本人で、職場のみんながお手上げ状態だった」なんて話は人事にとって日常茶飯事なんです。

本件にしたって一審では悪のマタハラ企業に対して声を上げた勇気ある被害者みたいな報道だったじゃないですか。それが高裁で180度ひっくり返るわけです。最高裁ではまたひっくり返ることだって十分ありえます。

会社と個人のケンカでどちらが正しいかなんて、突き詰めれば当事者以外には判断しようがないわけです。

だったら人事担当はどうするか。「疑わしきは罰せず」ならぬ「疑わしきは入社させず」とやらざるをえないわけです。だって一度採用してしまうと65歳超まで面倒みることが義務付けられてますからね。社会が企業に「異端者および異端者になりそうな人間はあらかじめ排除せよ」と迫っているようなものです。

ちなみに本件ですが、早い段階からメディアにさんざん社名が流されて“マタハラの象徴”みたいに担ぎ上げられてきているので、業種に限らずいろんな会社の人事が把握していると思われます。

従業員数20人にもかかわらず知名度全国区の社名を履歴書に見つけた時点で「あーあの人か……」となる採用担当は結構いるはずです。

本人かそれとも背後で絵を描いていた人がやらせたのか知りませんけど、安易に社外ユニオンを引っ張り込んでメディアを巻き込んだツケは小さくないなというのが筆者の印象です。






以降、
会社とケンカさせたがる困った人たち
それでも会社とケンカする人へのアドバイス





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Q:「退職金的には転職は50歳まで待つべき?」
→A:「50歳というのは退職の大きな節目ですね」



Q:「正社員の各種手当はなくすべき?」
→A:「正社員に限らず手当そのものが時代に合ってないと思いますね」





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「残業はどれくらいありますか?」という質問しちゃいけないの?と思ったときに読む話

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前回「ここ10年で若者の労働観が大きく変わりつつある」という話をしたところ、予想外に大きな反応がありました。

「まったくその通りで最近の新人は何を考えているのかまるでわからない。宇宙人みたいだ」
「従来のマネジメントがまったく通じないので困っています」

といったレスが目立ちましたね。拙著「若者はなぜ3年で辞めるのか」は年功序列・終身雇用制度にミスマッチし始めた世代のリアルを描いたものですが、現在の20代はそこから一歩踏み込んだ独自の価値観を持ち始めているとも言えます。

というわけで今回はもう少し踏み込んで若手と会社の関係をまとめてみたいと思います。


労働環境について尋ねることがタブーではなくなったわけ


従来、(新卒、中途を問わず)日本企業での採用面接においては「残業は多いですか?とか有給はどれくらい取れますか?といった後ろ向きの質問はNG」とされてきました。

筆者も10年以上前だったらそういう趣旨のアドバイスくらいしたと思います。

なぜか。終身雇用って従業員の滅私奉公が前提なんですね。滅私奉公=無制限の引き受けなわけです。

残業を嫌がるとか隙あらば有給を消化したがるというのは、もうその時点で自分と会社の間に線引きしようとしてるわけですよ。だからネガティブに評価される傾向があったわけです。

でも、現在はパリッとして普通にどこの大手からも内定が取れそうなMARCH以上の人材がサラリと「残業はどのくらいあるんでしょうか?」的な質問をしてくるわけです。

それは要するに、少なくとも彼ら若手の中では、“就職”という行為が滅私奉公からただの契約に緩やかに移行しつつあるからなんですね。契約なら自身の労働条件をしっかり確認するのは当たり前の話です。

むしろ自己管理がきっちり出来る人材として評価されるべきだと個人的には考えていますし、同じように考える企業も増えつつあるなと感じています。

今、企業は働き方改革を通じて、なんとか従業員の生産性を向上させようと躍起になっています。無駄な残業を減らし、空いた時間でより付加価値の高い業務に取り組んでほしい。そのために自発的にスキルアップもしてほしい。そういう時に必要なのは「なんぼでも残業いけまっせ」という人材ではなく、しっかり自己管理ができる人材なわけです。

だから、新卒でも中途でも、聞きたかったらいくらでも残業や有休について聞いてみればいいと思いますね。だって当然の権利なんだから。

なんてことを言うと「そんなこと言って、面接官が昔気質の人で落とされたらどうするんだ」なんて心配する人もいるかもしれません。

別にいいんじゃないですかね。この売り手市場、ダメな会社の方から手を引いてくれたと喜ぶべきでしょう。

むしろ企業側はいまどき残業敬遠や有休取得にネガティブイメージを持つ面接官がいるなら見つけ出してとっとと更迭すべきでしょう。

「面接で『残業多いですか?』って質問したらダメ出しされて落とされたわ」なんてSNSに晒されたら、もうその年の採用活動は上がったりでしょうから。

売り手市場では「この会社は働き方改革に向き合っているか、ポスト終身雇用にシフトできているか」を会社側もしっかりとチェックされているということです。





以降、
平均残業時間は働き方改革のバロメーター
会社や上司がアホでも個人で働き方は見直すべき






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Q:「リベラルのいう“支配層”ってどういうものなんでしょう?」
→A:「彼らが手にできなかったものを持ってる人はとりあえず支配層です」


Q:「今から人事制度を作るならどこから手を付けるべきですか?」
→A:「筆者のオススメは3点あります」




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