東大が、秋入試の実現に向けた検討チームを立ち上げるらしい。

東京大学が入学時期の秋への移行について本格的な検討を始めた。国境を越えた大学間競争
が加速する中、秋入学はかねて大学改革の課題に挙げられてきたが、東大が検討に踏み出した
ことで一気に広まる可能性が高まる。有力大学トップからは先導役としての東大に期待する声が
上がる。グローバル人材の獲得が急務の産業界・官界も検討の行方を注視する。


まだ本決まりではないし、他の大学がどこまで追随するか(さすがに東大だけでは低インパクト)
によるので何とも言えないが、かりに東大+上位大に普及した場合、新卒一括採用が崩壊する
可能性が高い。

仮にある程度の規模で秋入学が広がって、企業の新卒採用に占める秋入社者が増えたとする。
同じ「平成〇〇年度入社」であっても、春に入社する新人、秋に入社する新人、その中でも
単なる秋に入社する新人と、半年間留学やNPO活動等でOJTを積んできたモチベーションの高い
新人など、ものすごく新人の幅が広がってしまうことになる。
さらに言うなら、秋に入社する新人たちは、過去に4月に入社した既存の正社員の賃金体系とも
整合性が取れない。

こういった矛盾を解決するには、横並びの処遇を見直し、初任給を人によって変えるか、試用期間
明けの早い段階から年俸制など流動的な処遇を適用するしかない。入口からの流動化である。

「同じ〇〇年度入社なんだから、全員同じ初任給でいいじゃない」と思う大雑把な人もいるだろうし、
実際、そう考える大雑把な企業も中にはあるだろう。
ただ、そういう会社には、半年間、昼寝をしていただけの学生しか集まらないはず。

かつてないほどの厳選採用で、中でも自立型人材を欲しがっている企業※が、昼寝をしていた学生を
欲しがるだろうか。普通に考えれば、入口からの流動化に舵を切るだろう。※2

企業側はこういった付加価値の高い秋新人をとりたがるだろうから、東大以外の大学もおいおい
追随するはず。学生は内定後にギャップイヤーで付加価値を高めることに精を出すようになるはずだ。
それから、新しくキャリアの別コースが出来るだけの話なので、労働組合にとっても反対する理由はない。

さらに言えば、例の「3年以内の既卒は新卒扱い」の件と上手くコラボさせれば、秋入社からさらに
後ろ倒しになって卒後3年あたりまで幅が広がるかもしれない。それくらい、今回の東大のプランは、
いろんな可能性を感じさせてくれる。

労働市場の流動化というのは、社会保障制度の崩壊でメリットの無くなった正社員優秀者から始まる
と考えていたが、案外と入口の方が先かもしれない。
結局、大学がグローバルスタンダードに合わせることで、労働市場もグローバルスタンダード化して
いくのだろう。きっかけを作ってくれた東大にはエールを送りたい。


※「指示されたことだけでなく、自ら考えて行動できる人材」を求める人材像にあげた企業78%
 (2011.労働政策研究・研修機構、調査)

※2:2007年の時点で、経団連・御手洗会長が既に横並び初任給の廃止を提案している。

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