上野先生、勝手に死なれちゃ困ります 僕らの介護不安に答えてください (光文社新書)
上野先生、勝手に死なれちゃ困ります 僕らの介護不安に答えてください (光文社新書)
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僕はいわゆるフェミニスト的な意見というのにあんまり興味が無くて、上野千鶴子センセイも
何言ってるのかよくわからないことが多いのだが、それでも不思議と最後は同じ意見だったりする。

本書は、御年63歳にして意気軒昂な上野センセイと「希望難民ご一行様」の気鋭の若手論者
による世代を越えた対談本だ。少子化問題から社会保障、老い、人生論といったテーマまで、
それぞれの視点でとっつきやすく語ってくれる。

「自分の一生を費やして建てた家なんだから処分したっていいじゃない」
「何かあった時に帰れる家くらいはあった方がいいかなぁ・・・」
といった“疑似親子関係”が面白い。

高度成長期に作られたシステムには、様々なモデルがあった。
地方から若い労働力を都市に送りこむというモデル。
男性は総合職正社員で、女性は一般事務か専業主婦としてそれをサポートする側に回るモデル。
介護保険や年金といった社会保障制度は、基本的にそのモデルをより円滑に流すことを目的
として作られたものだ。

でも、少子高齢化と経済停滞で、そのモデルが崩れつつある。
みんな漠然とした将来に対する不安は抱いていると思うが、特に30代の地方出身者は、
けっこう薄皮一枚ギリギリで現状が維持されているという人が少なくないのではないか。
僕もそうだが、田舎の両親が要介護になったらどうするか?
介護までは行かなくても「体調悪いから帰ってこい」と言われて、Uターンできる人がどれだけいるか。
30代は、いろんな意味でエッヂの世代だと思う。

解決の方向性は明らかだ。上記のようなモデルを崩して、より流動的な社会に移行
するしかない。労働市場の流動化とか道州制とか世代間格差の是正とか、実は同じ根っこで
つながっているわけだ。


先行世代の中にも、ちゃんとその既得権に乗っかってうまい思いをしてきた人と、その既得権を
味わえなかったために批判している人達がいるわけね。その批判勢力の非常に大きい集団に、
女がいる。もう社畜とその専属家政婦になりたくないっていう点で、若者と女の利害が一致する
ならば、処方膳は出ているんだってば。
(中略)離職や中途採用が不利にならないように、労働市場の流動化を図ればいい。
(中略)男までが非正規化して、ようやく社会問題になったわけ
(171P)

それにしても、「社畜の専属家政婦」と断言してしまう上野センセイは、実は現役論者の中では
最強なのではないか。少なくとも僕は怖くて言えません(笑)
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