今週のメルマガの前半部の紹介です。
女性向けエステサロン経営のたかの友梨ビューティークリニック(以下たかのBC)が、従業員のサービス残業問題や、社外の労組に加入した従業員に圧力をかけたとされる問題で波紋を広げています。ま、はっきり言ってそんなのよくある話なんですが、問題が大きくなった経緯を見ると、同社はやっちゃいけないことをあれこれやってる典型的な危機管理能力ゼロ企業のように見えます。

いい機会なので、ケーススタディとして簡単に解説しておきましょう。経営者や管理職の方はもちろん、そうした職場を回避したいという人にも大いに学ぶところがあるはずです。


同社が叩かれまくっているワケ
 
まず、なぜNHKの夜のニュースで報じられるくらい、同社が叩かれまくっているのでしょうか。理由は以下の2つです。

1.社長がワンマンすぎ

日本の年間実労働時間が欧米より300時間以上長いことや、サービス残業がそこら中に放置されてるのも、基本的には終身雇用制度時給管理といった構造的な問題のせいであって、別にどこかの誰かがぼってるわけではありません。

「絶対クビにするな」なんて言われたら残業前提で少数精鋭でいくしかないですし、ホワイトカラーなのに製造ラインみたく時給で払えなんて言われても(成果が時間に比例しないので)払いきれないわけです。

昨年、成り行きで厚労省がちょっとマジメに調査してみたら実に80%以上の事業所で違反が発見されちゃいましたが、昔から実態としてはそんなもんですね。よく「日本の労基署はやる気がない」なんてことを言う人がいますが、彼等自身もともとの法律に無理があるとわかっているので、あえて大らかに構えているというのが筆者の意見です。

一方で、上記のような構造的な話を伝えるのは、実はメディアにとってとても苦手なことでもあります。メディアが得意なのは「○だから○だ」という一段階のお話だけです。実際、筆者はこれまで何十回も以下のような話をメディアの人にアドバイスしてきましたが、そのまんま報道されたことは皆無ですね。

「残業が多いのは、終身雇用である以上、ある程度残業させた上で残業時間で雇用調整しているから。また時間外手当の存在も長時間化に拍車をかけているから」
「サビ残が発生するのは、時間と成果が比例しない以上、労働時間分の残業手当を完全に支払うことが不可能だから」

でも、キャラが立っていて人事に直接介入してくるようなトップがいたら、どうでしょうか。

「残業多いのは、こわもての○○社長がいっぱい残業させているから」
「サビ残多いのは、こわもての○○社長がいっぱいがめているから」

書いてて自分でも思いましたが、とても分かりやすいですね。普段あまり物事を深く考える習慣のない人たちでも、きっと綺麗にイメージ出来たことでしょう。

ついでに言うと、日本の左翼と呼ばれる人たちにとっても、ワンマン経営のオーナー企業はとても叩きやすいターゲットです。彼らは前々世紀の遺物である“階級闘争史観”をいまだにお題目のように唱え続けています。要は「社長とか資本階級が全部悪い」と言うやつですね。

当たり前ですが、普通の会社は労組出身のサラリーマン社長であり、株主も特定のグループが独占しているなんてことはなく、大手なら持ち株会等を通じて労組がそれなりの株数を持ってたりもします。労使の線引きにもはやほとんど意味はなく、重要なのは法律で守られ過ぎの正社員と非正規雇用の格差問題です。

そういう現実を無視して伝統芸能やってるわけですから、そりゃ大衆にも支持されませんね。これが、日本の左翼が凋落した原因です。

でも、そんなカビの生えた階級闘争史観が、唯一往年の輝きを取り戻すのが、こうしたワンマンオーナーのいる会社というわけです。近年、左翼系の組織が攻撃の火付け役となった企業は、ユニクロやワタミ、そしてたかのBCと、すべてこの条件を満たしています。

彼らにとってこうした問題は労働問題ではなく、勢力拡大のための政治活動だということですね。彼らは脳みそは化石レベルですが、こういう点では意外としたたかにターゲットを絞り込んでいるように見えます。


2.社長が目立ち過ぎ

とはいえ、いくら分かりやすい悪役になれるトップがいても、それだけでは炎上はしません。というのも、誰も知らない会社だとニュースバリューがなく、誰も話題にしないためです。

筆者自身、ブラック企業だなんだと大手企業のあらを探す暇があったらその辺の中小企業でも取材すれば?と言ったところ「誰も知らない中小企業なんて報じたって意味ないじゃないですか」と面と向かって記者に言われたこともあります。メディアも商売なので、みんなをあっと驚かせるような記事じゃないと流す意味がないんですね。

これは個人についても同じですね。たとえばtwitterで「山口県の従業員20人の○○興業、サビ残、パワハラ常態化か?」なんて記事が流れてきても、誰もRTなんてしないでしょう(というかそもそも報道されないでしょうけど)。

そういう意味では、トップ自身がド派手に着飾って積極的にメディアに露出し、時に贅沢っぷりもPRしていたたかのBCは、ガソリンタンクをいっぱい体に巻きつけたワンショットライターみたいなものですね。

余談ですが、筆者は以前に「求む。社長の参謀として活躍してくれる人事経験者」というたかのBCの求人を見かけた記憶があります。

第一印象は「こりゃ相当なワンマンで、社内全般に対し強圧的なトップだな」というものです。普通、本業でもない人事なんかにトップはクビ突っ込みたがらないものですし「参謀として活躍」という言葉からは社内に対しても対決する姿勢が垣間見えたからです。

あれから十年以上経ちますが、どうやらいい参謀は見つからなかったようですね。




以降、
攻撃されない組織の作り方
ブラック労組へのお手軽かつ最強の防壁とは
たかのゆり従業員へのアドバイス



※詳細はメルマガにて(ビジスパ夜間飛行BLOGOS







Q:「おもしろ地方議員のセンセイ方の今後のキャリアパスが心配です」

→A:「ああいうのはそもそもキャリアという概念を持ってないと思います」



Q:「突然、職能給から職務給に切り替わったら、日本版リーマンショックみたいなのが起きないでしょうか?」

→A:「組織内と社会の変化は密接かつ緩やかに起き、やがて住宅ローンという習慣自体が見直されるでしょう」



Q:「週刊現代の朝日新聞誤報特集でコメントされてましたが、告知はされないでしょうか?」

→A:「コメントだけ記事はめんどくさいのでいちいち告知はしません」







雇用ニュースの深層

朝日新聞は上杉隆の夢を見るか


炎上を続ける朝日新聞だが、以前にたった一人で同じ道を駆け抜けた男がいる。その男の戦いの軌跡を振り返れば、朝日の行く末も見えてくるはず。



内閣改造

安部政権の今後の方向性がおぼろげながら見える人事となった。キーポイントは田村“マネキン”憲久を下ろして塩崎さんを厚労相にすえたことだろう。






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